「会社の幕引き」解散および清算とは?

本ブログでは、会社の幕引きとも言える「解散登記」と「清算結了登記」について、わかりやすくお伝えします。会社を立ち上げるときは意気揚々ととじることなど考えずに起業します。しかし、時には会社を畳む決断をしなければならなくなる時もあります。そんな時、どんな手続きが必要なのか、一緒に見ていきましょう。
なお、本ブログでは、主に、実務上最も多い「株式会社」の「株主総会の決議による解散」について見ていきます。

こんなお困りごとはありませんか
  • 会社をとじることになりその登記手続きについて、専門家に相談して進めたいけれど誰に相談したらいいかわからない。
  • 税理士の先生から、会社の解散登記と清算結了登記が必要になるので、司法書士に依頼してください。といわれたが、懇意にしている司法書士がいない。
  • 複数法人を経営・所有しているところ、このたび事業をとじることに伴い、いくつかの法人のうちの一つをとじることになったが、そのやり方や流れがわからない。
  • 親会社の社長から会社をとじる登記手続きをやっておくように指示されて、ネットで調べてなんとなくやり方は分かった気がするけれど、それを自分でやるリソースがない。
目次

解散と清算の関係

解散とは

会社を終わらせると言っても、いきなりシャッターを下ろして終わり!というわけにはいきません。
そこで、まず最初に行うのが「解散登記」です。具体的には次のような流れになります。

STEP
官報公告の申込

官報販売所に対して、公告掲載の申込をします。

STEP
株式総会の招集決定

会社の解散を決議するための株主総会の招集の決定を行います。

STEP
招集通知の発送

議案を記載した株主総会招集通知を発送します。

STEP
株主総会での承認(会社法第475条、第478条)

株主総会を開いて、株主から会社の終了する手続にはいることの承認を得る必要があります。
この決議には、出席した株主の3分の2以上の賛成が必要です。

STEP
解散公告の掲載及び知れている債権者への個別催告(会社法第499条)

解散公告を掲載するには、STEP1の申し込みから掲載まで、約2週間(営業日にして、約10日程度)かかります。
事前にSTEP1の解散公告を申し込んでおくことで、最短でSTEP5をSTEP4の翌日にすることが可能です。

STEP
清算人の選任(会社法第478条)

解散した後の会社の清算事務(会社をとじるためのモノの整理やお金の精算に関する事務)を行う人を決めます。
*こちらについては、通常、上記のSTEP4の解散承認にかかる株主総会の中で同時に選任することが実務上多いです。

STEP
解散登記の申請(会社法第926条、928条第1項)

会社の解散登記及び清算人の選任登記を法務局に申請します。

株主全員の同意による書面決議を行う際には、STEP2、STEP3及びSTEP4は不要となります。

清算とは

解散登記をしても、すぐに会社が消えるわけではありません。ここから清算手続を行います。
なお、下記の手続は、解散公告が掲載された日から2ヶ月を経過した日以降に行う必要があります。

STEP
財産目録の作成及びその承認(会社法第492条第1項、同条第3項)

清算人は、解散時点での財産目録を作成し、株主総会でその承認をうけます。

STEP
解散事業年度の税務申告、納付期限(解散から2ヶ月以内)

解散(清算人の就任)から2ヶ月以内に、税務署へ解散にかかる税務申告を行います。

STEP
清算事務の遂行(解散広告掲載から2ヶ月の期間満了後)

取引先との契約関係を解消したり、人員を整理します。

STEP
債権の回収(解散広告掲載から2ヶ月の期間満了後)

未回収であった債権は、可能な限り回収します。

STEP
債務の支払(解散広告掲載から2ヶ月の期間満了後)

解散公告掲載後に会社に残っている債務があれば、それを支払ます。

STEP
残余財産確定日から1ヶ月以内に残余財産確定事業年度の税務申告(その期間内に残余財産の最終分配が行われる場合には行われる日の前日まで)
STEP
残余財産の分配

上記申告が終わった後、ここまできて残った財産を株主に分配して、会社を空っぽにします。

STEP
決算事務報告書の作成(会社法第507条第1項、会社法施行規則第150条)

STEP3~STEP5の内容におけるそれぞれの金額を記載した決算事務報告書を作成します。

STEP
株式総会の招集決定

清算の結了を決議するための株主総会の招集の決定を行います。

STEP
招集通知の発送

議案を記載した株主総会招集通知を発送します。

STEP
株主総会での承認(会社法第507条第3項)

決算事務報告書の内容及び清算結了に関して承認をする株主総会を開催します。

STEP
清算結了登記の申請(会社法第929条)

清算人結了の登記を法務局に申請します。

STEP
清算結了届の提出

清算結了登記完了後に、税務署へその届出をします。

株主全員の同意による書面決議を行う際には、STEP9、STEP10及びSTEP11は不要となります。(会社法第491条及び同第319条第1項)

当事務所の特徴

・代表司法書士が全ての手続きを担当

 当事務所は、代表司法書士であるわたくしが全てのやりとりを担当させていただきます。一度説明したはずの内容を担当者が変わったがために、また説明しないといけないなどといった手間は一切発生しませんし、お問い合わせにもスピーディーに回答することができます。また、手続を進めていく中で生じた疑問点などに関しましては、いつでも何度でも代表司法書士に直接ご相談いただけます。

・様々なツールでのご連絡が可能

メールや電話のみならず、ChatworkやSlackでのご連絡のやり取りも可能です。
*資料の共有やリモート相談などとの連携が容易なため、原則として上記のチャットツールでのやりとりをお願いしております。

・完全オンラインでの登記手続にも対応

 代表取締役となる予定の方が「マイナンバーカードをお持ちで署名用電子証明書のパスワードを失念されていない」ことが前提ではありますが、弊所からお送りするPDFデータに電子署名していただくことで、捺印書類の郵送のやりとりなく設立登記手続を完了することも可能です。
 *解散の登記申請書とあわせて法務局へ提出する「印鑑届出書」には法人実印の押印が必要です。
 *この場合でも、印鑑証明書などの捺印書類以外のご提出は必要です。また、法律の関係で弊所から依頼内容確認する文書を送付させていただきます。

解散及び清算結了登記のご依頼に含まれる業務内容

【解散登記】
・解散公告原稿の作成及び官報販売所への申込手続き
・登記申請に必要となる株主総会議事録などの登記関係書類一式の作成
・登記申請書の法務局への提出
・登記申請と同時に行う法務局への清算人の印鑑届出
・登記完了後の法務局での登記簿謄本の取得

【清算結了登記】
・登記申請に必要となる株主総会議事録などの登記関係書類一式の作成
・登記申請書の法務局への提出
・登記完了後の法務局での閉鎖登記事項証明書(「閉鎖謄本」ともいいます)の取得

登記に必要な決算事務報告書の作成にあたっては、顧問税理士の先生のとの連携が必要となります。あらかじめ先生の連絡先をご教示ください。

解散及び清算結了登記の料金

料金:249,800円(税込、実費込) 

*各種登記の登録免許税の合計額である 41,000円、解散公告の官報掲載手数料約40,000円を含みます。


・支払時期に関しましては、解散登記申請前のタイミングでお願いしております。弊所の指定する銀行口座へ振り込みの方法にてお支払いください。
・お支払い金額については、清算結了登記分まで含めて全額のお支払いをお願いしております。
 *清算結了登記完了時には、会社の財産が空っぽになり報酬をいただくことができなくなるため、事前にその分を含めて頂戴させていただきます。

ご依頼の流れ

解散登記について

STEP
お問い合わせ

・まずはお気軽に、お電話かお問い合わせフォームからお問い合わせください。
・お問い合わせの際には、リモート面談希望日時を3つほどご記入いただけますと幸いです。

STEP
初回リモート面談・ヒアリング

・初回のリモート面談(30分)の費用は、無料です。
・お客様の現在の状況をお伺いした上で、サービス内容をご説明させていただきます。
・初回相談にあたりましては、次の3点の資料のご準備をお願いいたします。

 1 御社の最新の定款
 2 御社の最新の登記簿謄本
 3 御社の株主がわかるもの(決算申告が1期以上お済みの場合には、決算書の中の「別表2」というページ)

STEP
ご依頼・ご契約

ご依頼いただける場合、クラウドサインにて正式に契約を締結します。

STEP
個人印鑑証明書の取得及びデータのご提供(お客様

*印鑑証明書については、コンビニでの取得も可能です。詳細につきましては、こちらをご覧下さい。
*同時にご本人様確認資料(マイナンバーカード表面や運転免許証の両面など)の画像データもご提供ください。

STEP
ご捺印書類一式の発送

問題なければ、ご捺印書類一式を作成し、会社の本店へ発送いたします。
 *完全オンラインでの手続の場合には、PDFデータをお送りし、それに電子署名をしていただきます。この場合でも、「印鑑届出」に法人実印を押印していただく必要はございます。

STEP
ご捺印書類のご返送(お客様

届いた書類にお客様にてご署名・ご捺印の上、印鑑証明書などの必要書類とともにご返送いただきます。
*完全オンラインでの手続の場合には、PDFデータをお送りし、それに電子署名をしていただきます。詳細については、こちらをご覧下さい。

STEP
登記申請

オンラインにて登記申請を行い、弊所から法務局へ必要書類一式を郵送いたします。

STEP
登記簿謄本の取得

登記完了を確認後、法務局にて登記簿謄本1通をお客様に代わって取得いたします。

STEP
完了書類一式の発送

お客様のご希望の住所へ、登記完了書類一式をお送りいたします。

清算結了登記の流れ

清算結了の登記については、上記官報公告から2ヶ月以上経過した後に、次の流れを行うことになります。

STEP
ご捺印書類一式の発送

お客様及び顧問税理士の先生からご提供いただいた情報を元に、登記関係書類一式を発送いたします。。

STEP
ご捺印書類のご返送(お客様

届いた書類にお客様にてご署名・ご捺印の上、ご返送いただきます。
*完全オンラインでの手続の場合には、PDFデータをお送りし、それに電子署名をしていただきます。詳細については、こちらをご覧下さい。

STEP
登記申請

オンラインにて登記申請を行い、弊所から法務局へ必要書類一式を郵送いたします。

STEP
登記簿謄本の取得

登記完了を確認後、法務局にて会社が消滅したことを証明する登記簿謄本(閉鎖事項全部証明書)1通をお客様に代わって取得いたします。

STEP
完了書類一式の発送

お客様のご希望の住所へ、登記完了書類一式(閉鎖事項全部証明書含む)をお送りいたします。

解散の登記完了時、残余財産の確定時及び清算結了登記完了時に、それぞれ顧問税理士の先生にご対応いただく事項が発生するため(解散申告や清算結了申告など)、それぞれの登記完了時の謄本については、税理士の先生にご共有ください。ご連絡先をいただけましたら、弊所からスキャンデータをPDFにてお送りする対応も可能です。

よくある質問

会社をとじる手続が終わるまで(会社から清算結了の終結まで)には、全体でどのぐらいの期間がかかりますか?

スムーズに手続が進んで、3ヶ月ぐらいかかります。上記の官報公告の期間が最低2ヶ月以上必要となっているためです。(会社法第499条第1項)なお、回収する債権が多数ある支払うべき債務が多岐にわたる、など複雑な場合には、もっと期間がかかることがあります。

解散公告を自分で申し込んでみようと思います。どこの官報販売所に申し込まなければならないなどの制限はありますか?やはり、会社の本店がある都道府県の官報販売所に申し込まなければならないのでしょうか?

いいえ。会社の本店があるところではない、官報販売所への申込でOKです。かくいう私も、東京での勤務時代に懇意していた担当の方がいるため、大阪の案件でも、東京官報販売所へ官報掲載依頼をしています。

税理士さんのいう「休眠会社」とここでいう「解散」とは何が違うのですか?

 一般のお客様や税理士の先生はよく、税務署などへ事業を停止する旨の届出をしている会社のことを俗称して「休眠会社」などと呼びますが、ここでいう休眠会社と、本ブログ記載の解散した会社(法律上は「清算会社」といいます。)は、全く異なります。(会社法第476条)


 休眠会社は、余分な税金が発生しないようにするため、税務署などへ所定の届出をしている会社に過ぎません。よって、休眠会社は、法律上の解散事由になんら該当しているわけではなく、清算会社とは、異なる概念です。


 また、会社法上にも「休眠会社」(会社法第472条第1項で規定されている)という用語はありますが。俗称されている「休眠会社」は、それとも異なる概念ですので、ご注意ください。
 なお、上記、休眠会社になっていたとしても、税務申告や適時の役員変更登記は必要であることには、ご注意ください。

解散と清算結了、どうして2つの登記が必要なのですか?

会社は解散したのみで自動的に法人格が消滅するわけではありません。あくまで解散することによって、「清算会社(会社の清算を目的とした会社)」に、会社の性質が変わるのみだからです。

清算会社に移行後、すべての債権を回収し全ての債務を支払い、その余りを株主へ分配して初めて会社が空っぽになります。会社が空っぽになってからでないと、清算結了の登記はできないため、手続としては2段階の登記にわかれることになるのです。(吸収合併による解散の場合を除く)。

当社はこのたび吸収合併されてなくなることになりました。このケースでも法律上の解散事由には該当するようですが(会社法第第471条第1項第4号)、本ブログで説明されているような解散及び清算手続きは必要ですか?

 吸収合併の場合には、その手続きは不要です。なぜならば、吸収合併の場合には、吸収合併される会社(法律上「消滅会社」といいます。)の権利義務は吸収合併する会社(法律上「存続会社」といいます。)に引き継がれるため、


 本ブログで紹介されているような会社の権利義務関係の清算は不要であるためです。本ブログで紹介しているような手続きの場合、清算結了時に法人格は消滅することになりますが、合併の場合には、合併の効力発生時に法人格が消滅することになります。
 なお、株主総会の決議などにより解散している清算会社は、上記の存続会社になることはできませせん。(会社法第474条第1項第1号)

当社は、いままで赤字続きだったいわゆる債務超過の会社です。このブログにかいてあるような方法で、他の会社と同じように会社をとじることができるのでしょうか?

債務超過の会社の場合には、本ブログと同じ流れで会社をとじることはできません。債務超過の会社の解散及び清算については、法律上、特別の定めがあり、裁判所の監督の下で清算手続をすすめる「特別清算」(会社法第510条以下)という手続が必要になります。(本ブログ記載の手続方法をそれと対比して「通常清算」ということもあります)。

官報公告と同時にする個別催告について質問です。法律上は「知れたる債権者」としてしかかいておらず(会社法第499条)、全ての債権者に催告するように読めるのですが、少額の債権者含めると債権者数がとんでもない数になってしまうため、その全てに催告書を送るのは現実的ではありません。このようなケースでは、実務上どのような対応をすればよいのでしょうか?

 おっしゃるとおり、法律上は、原則として全ての債権者に催告する必要があります。しかし、おっしゃるように、その方法で対応するのは現実的には難しいことが多いです。そこで、実務上は、仮に請求されたとしても会社側ですぐに支払いできるような一定額以下(例えば「10万円など)の少額の債権者に対しては、個別催告を省略するという対応をとることもあります。

 そもそもこの催告については、催告をうけなかった債権者については、清算から除斥されない(あとから債権者として支払が請求できる)効果があるところ、仮に、催告していなかったとしても、後から請求してきた債権者に対して、その少額の支払いをすれば事足りるからです。

 しかし、あくまでこれは、実務上の次善策ですので、可能な限り、原則どおり全ての債権者に催告書を送るのが望ましいでしょう。(昔は、書面での通知しか方法がありませんでしたが、今はメールアドレスなどがわかれば、全てメールで催告書をおくることも可能です)。

比較的少額な債務の支払がいくつか残っており、それを会社の手元資金だけでは払いきれないのですが、どうしても特別清算によらずに解散したいです。そのような場合に取れる手段はないのでしょうか?

 1度、オーナーのほうで全ての債務を立て替えて支払った上で(この支払により、会社の債務は「役員借入金」の一本のみとなります。)、最後にオーナーがその債務について債務免除をするという手続を行えば、通常清算で手続を進めることができます。

 しかし、債務の額が大きくてオーナーが立替払いでその全額を支払うことができないなどの場合には、この方法が使えないことに注意してください。加えて、オーナーが会社に対する債務免除をした場合には、債務免除をうけた会社に、債務免除益が生じる可能性があります。詳細については、顧問税理士とも相談の上、手続を進めるようにしてください。

上記のケースと同じく、当社は少額ですが、債務超過です。その債権者は親会社が中心です。このような場合も特別清算によらずに解散することはできるのでしょうか?

親会社以外の債務は全て親会社に負担してもらい、債権者を親会社に負担してもらった上で、その後に親会社に債権放棄をしてもらうことで、通常清算により解散することができます。なお、税金上の問題が生じる可能性があるのは上記と同様ですので、詳細については、顧問税理士とも相談の上、手続を進めるようにしてください。

自分で解散の登記をしようとしたところ法務局から定款の提出を求められました。なぜ、解散するだけなのに定款変更が発生する商号(社名)変更の登記や目的変更の登記には求められなかった定款もださないといけないのですか。

 解散に伴う清算人に関する登記をする場合には定款を添付しなければならないということが法定されているためです(商業登記法第73条第1項)また、それに加えて解散及び清算人による就任の登記を行うにあたって、必要な登記が漏れていないかを判断するために、添付すべきとされていると考えられます。
 具体的には、監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定款の定めを証明するため(平成27年2月6日民商第13号通達)及び監査役の任期を明らかにするため(商業登記法第54条第4項、昭和33年12 月23日民甲2655号回答、商業登記規則第61条第1項)に添付するものとされています。

会社の役員になるときは、わたし個人の印鑑証明書や住民票または運転免許証の両面の写しに原本に間違いないとの記載をしたものを提出しましたが、解散して清算人になる時にも必要ですか?

 清算人への就任にあたっては、おっしゃるような資料(法律上、「本人確認証明書」といいます。)の提出を求められることはありません(商業登記規則61条7項の適用除外)
 しかし、解散登記の際には、清算人としての印鑑の届出が必要であり、印鑑届出には清算人となる方個人の印鑑証明書が必要となりますj。(商業登記規則第9条第5項第1号)
 つまり、本人確認資料としては不要ですが印鑑届出には必要となりますので、、弊所では登記手続きの際には、(代表)清算人となる方の印鑑証明書1通をお預かりさせていただきます。

公告には、自社のHPなどに掲載する「電子公告」や日経新聞などに掲載する「日刊新聞紙による公告」があると聞きました。官報に公告する代わりに、そのような方法で公告してもよいのですか?

いいえ。法律上、官報広告によると規定されているため(会社法第499条第1項)、この場合の公告は、官報公告による必要があります。

会社をとじる場合にも、代表取締役の住所を隠せるようになったと聞きましたが、どうゆうことですか?簡単に教えてください。また、そのメリットについても教えてください。

 会社をとじる場合には、本ブログで解説した「解散・清算結了」という手続をとることになります。上記の手続を取った場合、会社には「代表清算人」という会社をとじる手続を行う担当者が選ばれます。
その場合、代表取締役と同じく、原則としては、代表清算人個人の住所が登記簿にのることになります。その代表清算人個人の住所も今回の制度が始まったあとは、隠すことができるようになります。

 「会社をとじる段階で、その代表者の住所を隠す必要なんてあるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、清算結了までの手続が完了した後には、登記簿は閉鎖し保管され、その閉鎖後の登記簿謄本も誰でもとることができます。その閉鎖謄本に代表清算人の住所が隠さずに登記されたままになっていると、閉鎖登記簿を取得した人は、誰でも代表清算人の住所(≑それまでの代表取締役の住所)を確認できてしまいます。

 よって、解散時点で代表清算人の住所を隠すことにより、会社をとじたあと保管され続ける閉鎖謄本に住所の履歴を残さなくすることができる。というメリットがあります。

司法書士からひと言

会社をとじるのは、会社を設立するのよりずっと大変な作業です。しかし、しっかりとサポートしてくれる専門家に依頼して手続を進めれば、そんなに怖いものではありません。清算結了まですっきりと終われば、どこかでのお勤めに戻るにせよ、新しく会社を作って起業するにせよ新たな出発の良いスタートになるでしょう。
会社をとじるにあたっては、弁護士よりも、商業登記のプロである司法書士に相談しながら進めるのがおすすめです。会社の幕引きにあたって、お悩み事がある方は、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。


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この記事を書いた人

石本 憲史のアバター 石本 憲史 司法書士・スタートアップデザイナー®

大阪司法書士会東支部 所属(第4973号)
簡易裁判所訴訟代理権等能力認定(第1201092号)

●所属団体
BAMBOO INCUBATOR、smartroundパートナー

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