本店の移転登記とは?

本店移転をした際には、必ず登記手続きが必要ですが、もともと使っていたオフィスのお片付けや、新オフィスに設置する家電や什器類の選定や設置・搬入などで忙殺されてしまい、なかなか手続きまで手が回らないことも多いようです。
当事務所にご相談をいただくケースでも、当初はご自身で手続きをしようと思っていたが、実際オフィスを移転するとなると想像以上に様々なことに対応する必要が生じてきて、登記手続きまでは自分で対応することができないと言ってご依頼される方も多いです。
本ブログでは、本店の移転登記の流れやその役割などについてわかりやすく解説していきます。

こんなお困りごとはありませんか
  • 本店移転の登記手続きについて、専門家に相談して進めたいけれど誰に相談したらいいかわからない。
  • 社長から本店移転の登記手続きをやっておくように指示されて、ネットで調べてなんとなくやり方は分かった気がするけれど、それを自分でやるリソースがない。
  • 他の都道府県へ本店を移転する場合には、同じ都道府県内で移転する場合と手続きの内容が異なるとネットで見たけれど、自分ではその説明が理解しきれず、対応できるか不安なので専門家にお願いしたい。
  • 新社屋への移転に伴う事務作業やそれに伴う看板やHP及び名刺の変更作業などに忙殺され、本店移転登記まで手が回らないので、誰かに依頼したい。
目次

そもそも本店の移転登記とはどのような手続きなのか

ところで、本店移転を行うためには、どのような書類を作り、どんな手続きを進めていくことになるのでしょうか。
手続きの概要、要件、完了までの流れなどをそれぞれ説明します。
なお、本ブログでは、実務上多くをしめる「取締役会非設置会社」のケースを前提に解説していきます。

STEP

株主総会の招集決定(株主総会により本店移転を決議する場合)

商号変更を決議するための株主総会の招集の決定を行います。

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株主総会の開催(取締役の決定)

いただいた資料をもとに、お見積書を作成し、ご確認いいただきます。

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登記関係書類の作成

当方にて、本店の移転登記に必要となる次のような書類一式(またはPDFデータ)を作成いたします。

  • 株主総会議事録(or取締役の決定書)
  • 定款(管轄外本店移転の場合)
  • 委任状
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登記変更関係書類の郵送または送信

作成した書類一式を郵送いたします(完全オンライン申請の場合には、PDFデータを送信いたします。)。
*完全オンライン申請の詳細については、こちらをご参照ください。

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登記申請

法務局に対して登記申請を行います。管轄をまたぐ本店移転の場合には、同時に定款の変更を行い「印鑑届出」及び「印鑑カード交付申請」も行います。

当事務所の解決事例

当事務所では、本店移転の登記につき、これまでに様々な状況のお客さまよりご依頼をいただき、業務にあたってまいりました。

事例1「自宅から新たに借りたテナントへオフィスを移転したケース」

スモールスタートして自宅開業で始めた事業が軌道にのり、売上がのびてきたため新しくテナントを借りてオフィスを移転することになったお客様。ご自宅からテナントへの移転は初めてのことでかなりご苦労されたようでしたが、登記手続きも無事完了して、新たなオフィスへもご挨拶させていただいた際には、晴れやかな表情をしていらっしゃいました。

事例2「東京から大阪へ本店を移転したケース」

これまで東京で事業を行っていた会社が大阪にオフィスを移転されるとのご相談。新たに大阪にオフィスを構えるにあたり、大阪でオフィス探しに協力してもらえる不動産屋さんも探していらっしゃったということで、内装や各種什器含めたご提案力のあるテナントに強い不動産屋さんをお繋ぎしつつ、滞りなく本店移転の登記手続きも完了させるこができました。

本店移転のこと、当事務所に相談してみませんか

本店移転の手続きを自社で進めようとしても、オフィス移転に伴う現在のオフィスのお片付けや、新オフィスに入るための備品・什器の選定や設置・搬入などで忙しく、なかなか時間が取れないという状況も多いのではないでしょうか。
当事務所では、本店移転に関するサポート業務を提供中です。ご依頼いただきますと、登記に関する手続き面に関しては全て当事務所にお任せいただき、送られてきた書類にハンコを押すだけで登記手続きを完了させられる、というメリットがあります。

本店移転の手続きでお困りの方は、当事務所に一度ご相談ください。初回相談は無料です。

当事務所の特徴

・代表司法書士が全ての手続きを担当

当事務所は、代表司法書士であるわたくしが全てのやりとりを担当させていただきます。一度説明したはずの内容を担当者が変わったがために、また説明しないといけないなどといった手間は一切発生しませんし、お問い合わせにもスピーディーに回答することができます。また、手続きを進めていく中で生じた疑問点などに関しましては、いつでも何度でも代表司法書士に直接ご相談いただけます。

・様々なツールでのご連絡が可能

 メールや電話のみならず、ChatworkやSlackでのご連絡のやり取りも可能です。
 *資料の共有やリモート相談などとの連携が容易なため、原則として上記のチャットツールでのやりとりをお願いしております。

・本店移転の際に必要となる他の業者様のご紹介も可能

 本店移転をする際には、新たなテナントを探すにあたって不動産業者さんやインターネット業者さんなど様々な業者さんを探す必要があるかと思います。当事務所では、テナント探しに強い不動産業者さんとの繋がりがありますので、そういった業者さんのご紹介も可能です。
また、今はいってらっしゃるテナントの退去費用が想定した以上に高額でそれが妥当な金額なのかどうか確認したいという方には、日本でも数少ない原状回復コンサルタントの方のご紹介も可能です。

・完全オンラインでの登記手続への対応が可能

 代表取締役(合同会社の場合には「代表社員」)がマイナンバーカードをお持ちで署名用電子証明書のパスワードを失念されていないことが前提ではありますが、弊所からお送りするPDFデータに所定のアプリを利用し電子署名していただくことで、捺印書類の郵送のやりとりなく本店移転登記手続を完了することも可能です。
 完全オンラインでの登記申請手続に関する詳細については、こちらをご確認ください。

 *「管轄をまたがない」本店移転の場合です。
 *管轄をまたぐ移転の場合、「印鑑届出書」と「印鑑カード交付申請書」へ、法人実印の押印が必要となります。

本店の移転登記のご依頼に含まれる業務内容

【管轄をまたがない本店移転の場合】
・移転先のオフィスの近くで同じ社名を使った同業者が営業していないかの確認
・本店移転に関する登記手続きに必要となる書類の作成
・登記完了後の会社謄本の取得
 

管轄をまたぐ本店移転の場合】
・本店所在地の記載を変更後の新たな定款の作成(Word納品含む)
・新しい本店所在地の管轄の法務局への印鑑届出
・新しい本店所在地を管轄する法務局での印鑑カードを取得するための印鑑カード交付申請
・新しいオフィスを管轄する登記所からの新たな印鑑カードの受領
・登記完了後の会社謄本の取得

・管轄の詳細については、こちらの説明ブログをご確認ください。

本店の移転登記の料金

原則として、同じ管轄内での移転の場合(東京都で区がかわる場合を除く)
料金:6万9,800円(税込、実費込)

管轄外への本店移転の場合(東京都では区をまたぐ移転の場合)
料金:14万9,800円(税込、実費込)

対象地域

日本全国対応可能です!郵送やZoomを使用することで、直接面談することなく手続きを進められますので、関西圏以外の方からのご依頼でも別途交通費等の追加費用が生じることはございません。

ご依頼の流れ

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お問い合わせ

・まずはお気軽に、お電話かお問い合わせフォームからお問い合わせください。
・お問い合わせの際には、リモート面談希望日時を3つほどご記入いただけますと幸いです。

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初回リモート面談・ヒアリング

・初回のリモート面談(30分)の費用は、無料です。
・お客様の現在の状況をお伺いした上で、サービス内容をご説明させていただきます。
・初回相談にあたりましては、次の4点の資料のご準備をお願いいたします。
 1 御社の最新の定款
 2 御社の最新の登記簿謄本
 3 御社の株主がわかるもの(決算申告が1期以上お済みの場合には、決算書の中の「別表2」というページ)
 4 移転先のご住所がわかるもの
  (新しいオフィスの賃貸借契約書など)

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ご依頼・ご契約

・ご依頼いただける場合、クラウドサインにて正式に契約を締結します。

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ご捺印書類一式の作成及び発送(完全オンラインの場合は、PDFデータのご提供になります。)

お客様からヒアリングさせていただいた内容をもとに、ご捺印書類一式を作成し、本店の住所へ発送いたします。
*完全オンラインでの手続の場合には、PDFデータをお送りし、それに電子署名をしていただきます。詳細については、こちらをご覧下さい。

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ご捺印書類のご返送(お客様

届いた書類にご捺印の上、ご返送いただきます。

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登記申請(管轄外への移転の場合は、同時に「印鑑届出」「印鑑カード交付申請」を行います)

・オンラインにて登記申請を行い、弊所から法務局へ必要書類一式を郵送いたします。

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登記簿謄本の取得

・登記完了を確認後、法務局にてお客様に代わって登記簿謄本1通を取得いたします。
管轄外への移転の場合には、新しい法務局において発行される印鑑カードも一緒に取得いたします。

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完了書類一式の発送

お客様のご希望の住所へ、議事録などを含む登記完了書類一式をお送りいたします。管轄外本店移転の場合には、あわせて、変更後の定款のWordデータも納品お送りいたします。
 *完全オンライン申請の場合には、紙の登記完了後の謄本のみのご郵送となります

ご覧いただきますと分かるとおり、直接、事務所にご来所いただくことなくハンコを押すだけで、全ての手続きを完結することが可能です!

本店移転に関するよくあるご質問

ご依頼する場合は、オフィス移転が終わる前にお願いしたほうがよいですか?それとも、オフィス移転が終わった後にお願いしたほうがよいですか?

 わたしといたしましては、オフィス移転が終わる前、具体的には新たなオフィスの移転先が決まった段階でご相談いただくのがベターと考えます。
 そもそもは、本店移転の登記は、あくまで「本店の住所がこの住所にこの住所に変わったという事実を登記する」手続きですので、登記ができるのはオフィス移転が実際に終わった後となります。
 しかし、オフィス移転が終わった後にご相談いただき書類を作成すると、どうしても登記を申請することができるタイミング及び登記が完了するタイミングが遅くなってしまいます。法律上、オフィス移転が終わった日から2週間以内に本店移転の登記を申請すべきとなっているところ、移転後のバタバタが続くタイミングと登記手続きに必要なタイミングが重なるのは望ましくありません。
 つきましては、事前にご相談いただき書類を事前にととのえておくことで、オフィス移転が実際に終わったその日にすぐに登記手続きを行い、その後のオフィス移転に伴う諸届をスムーズに行うことができます。

ネットで調べていると「本店所在地」という言葉と「本店所在場所」という言葉がでてきたのですが、この2つの言葉は同じ意味ですか?

2つの言葉は、どれだけ具体的に本店の住所を示すのかという点で違いがあります。
 「本店所在地」は、本店の最小行政区画までの住所を示す単語です。例えば、大阪の場合には大阪市まで、東京都23区の場合には、東京都○○区までの住所です。
通常、定款に本店の住所として記載しているのは、この本店所在地までとなります。そのため、管轄外への本店移転など、定款記載事項である住所外へ移転する場合には、本店移転の登記にあわせて、定款変更も行う必要があります。
 これに対して、「本店所在場所」は、より具体的な住所を示す単語です。例えば、大阪市の場合には、大阪市○丁目○番○号という郵便物が届く程度まで特定された住所です。

なんで同じ本店移転の手続きなのに費用が変わる場合があるのですか?管轄ってなんですか?

 それぞれの会社の本店の場所によって、登記手続きを行う法務局が異なり、それぞれの法務局がカバーしているエリアのことを管轄といいます。
 原則としては、各都道府県それぞれによって、管轄している法務局が異なりますので、都道府県をまたいだ本店移転をする場合には、同一都道府県内(東京23区内の場合には、区内)で本店を移転する場合よりも、行う手続きや作成する書類の量が増えますので、費用が変わります。

*管轄の詳細については、こちらをご確認ください。

ランニングコストを下げるために、バーチャルオフィスへ本店を移転しようかと考えています。バーチャルオフィスへ本店を移転することには、どのようなリスクがありますか?

 ホームページ上で「登記OK」などと書いているバーチャルオフィスの場合、そこへ登記簿上の本店とするための本店移転登記をすることは可能です。しかし、会社名義の口座開設時にそれを金融機関側でマイナスの判断材料とされる可能性があります。わたしのクライアントでも、バーチャルオフィスを本店としていたことが口座開設を断られた原因と思われる方もいらっしゃいました。*口座開設を断られた場合でも、金融機関側はその理由は教えてくれません。
 会社の本店エリアの信用組合や信用金庫さんなどからの借入を予定されている場合にはそもそも口座開設すらできず、予定どおりの借入ができなくなるというリスクもあります。

 また、会社宛の郵便物は全て登記されている本店に届きますので、ご自宅への転送する際に転送手数料などがかかる場合には、その手数料分のランニングコストが増える危険性があります。加えて、会社宛の郵便物には転送不要で送られてくるものもあるため(実際にその会社がその住所に存在しているかを確認する目的のため)、転送対応のみで営業することは事実上難しいところがあります。

 加えて、許認可を要する事業の場合には、事務所要件が定められている場合があります(有料職業紹介事業など)。そのようなケースで、バーチャルオフィスへ本店を移転してしまうと、取得している許認可が取り消されることになる可能性がありますので、許認可を要する事業を行う場合には、注意してください。

キリがいいので、どこかの月の1日に本店を移転しようとしています。なにかデメリットはありますか?

会社には、存在するだけでかかる法人住民税の均等割という税金があります。この税金については、利益がでていない場合でも、最低年額7万円かかります。この法人住民税の均等割の金額は、その年額を12で割り、事業所を有していた月数(1ヶ月未満は切り捨て)をかけて算出されます。事業所を有していた日数に関しては、同じ市町村や同じ区外へ移転した場合にあたっては、その月数がリセットしてカウントされます。

法人住民税の均等割の金額(初年度) = 均等割の年額 ÷ 12 × 事業所を有していた月数

加えて、この計算にあたっては、上記のとおり、1ヶ月未満は切り捨てるとされているところ、1日に本店移転すると丸々1ヶ月あるので移転した月が切り捨てされませんが、2日以降の本店移転だと1ヶ月未満なので切り捨てられます。結果的に、1日以外に本店移転すると、1日をその登記原因日付として本店移転した場合に比べて、約5,800円~5,900円(70,000円÷12)法人住民税の均等割が安くなります

本店移転するデメリットはなにかありますか?

商業登記電子証明書を取得している場合には、それが失効してしまうというデメリットがあります。
*商業登記電子証明書の詳細については、こちらの「よくある質問」の4問目をご覧下さい。

司法書士からひと言

わたしも2022年4月と2023年12月に、2度のオフィス移転を経験しましたが、その際に元のオフィスの整理整頓や不要になったものの廃棄・新しいオフィスへ持っていくものの荷造り・オフィス移転に伴う各種登録サイトや行政機関への住所変更の届出・新しいオフィスに設置する什器の選定、搬入及び設置など、移転前に想像していた以上に膨大な作業に追われ、大変な思いをしました。

そのような作業に追われた経験から、少しでも本店移転をされるお客様の力になりたいという思いがあります。

煩雑な登記手続きは専門家に依頼し、自分はオフィス移転に集中して良いオフィスを作りたい、という方はぜひご相談ください。最初から最後までしっかりとサポートさせていただきます。


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