目的の変更登記とは?

目的の変更登記は、会社の事業内容に変更が生じた際に必要となる重要な手続きです。なお、会社の目的は、その法人が行う事業内容を示すものであり、法人はこの目的の範囲内でのみ権利能力を有すると考えられているため、登記されている事業目的は、実際の事業内容に一致している必要があります。
本ブログ記事では、目的変更の登記の流れやその役割などについてわかりやすく説明していきます。

こんなお困りごとはありませんか
  • 目的変更の登記手続きについて、専門家に相談して進めたいけれど誰に相談したらいいかわからない。
  • 新規事業の展開にあたり、「融資をうけるには、新規事業を登記簿にも載せてもらわないと融資できない」と言われたが、登記のやり方がわからない。
  • 目的変更の登記を自分でやろうとしたが、どのような文言で登記すればよいのかわからない。
  • 社長から目的変更の登記手続きをやっておくように指示されて、ネットで調べてなんとなくやり方は分かった気がするけれど、それを自分でやるリソースがない。
目次

そもそも目的変更登記はどのような手続きなのか

ところで、目的変更登記を行うためには、どのような書類を作り、どんな手続きを進めていくことになるのでしょうか。手続きの概要、要件、完了までの流れなどをそれぞれ説明します。
なお、本ブログ記事では、実務上多くをしめる「取締役会非設置会社」のケースを前提に解説していきます。

STEP

株式総会の招集決定

目的変更を決議するための株主総会の招集の決定を行います。

STEP

招集通知の発送

議案を記載した株主総会招集通知を発送します。

STEP

株主総会の開催

目的変更を決議する株主総会を開催します。

STEP

登記変更関係書類の作成

当方にて、目的変更登記に必要な書類一式(またはPDFデータ)を作成いたします。

STEP

登記変更関係書類の郵送または送信

作成した書類一式を郵送いたします(完全オンライン申請の場合には、PDFデータを送信いたします。)。
*完全オンライン申請の詳細については、こちらをご参照ください。

STEP

登記申請

法務局に対して登記申請を行います。

*株主全員の同意による書面決議を行う際には、STEP1、STEP2及びSTEP3は不要となります。

目的変更登記の重要性

目的変更登記は単なる形式的な手続きではなく、以下の理由から重要な意味を持ちます。

  1. 法的要件の遵守: 事業内容の変更を適切に反映し、法的要件を満たすため。
  2. 取引先との信頼関係構築: 新規取引先は、登記された目的を参考に企業の信頼性を調査することがあります。明確な目的記載は、自社の事業内容をアピールし、安心感を与えることにつながります。
  3. 権利能力の明確化: 法人の権利能力は定款に記載された目的の範囲内に限定されるため、実際の事業内容と一致させることが重要です。

ご依頼の流れ

STEP

お問い合わせ

・まずはお気軽に、お電話かお問い合わせフォームからお問い合わせください。
・お問い合わせの際には、リモート面談希望日時を3つほどご記入いただけますと幸いです。

STEP

初回リモート面談・ヒアリング

・初回のリモート面談の費用は、無料です。
・お客様の現在の状況をお伺いした上で、サービス内容をご説明させていただきます。
・初回相談にあたりましては、次の4点の資料のご準備をお願いいたします。
  1 御社の最新の定款
  2 御社の最新の登記簿謄本
  3 御社の株主がわかるもの(決算申告が1期以上お済みの場合には、決算書の中の「別表2」というページ)
  4 変更後の事業内容がわかる資料

STEP

ご依頼・ご契約

・ご依頼いただける場合、クラウドサインにて正式に契約を締結します。

STEP

ご捺印書類一式の作成及び発送(完全オンラインの場合は、PDFデータのご提供になります。)

ご捺印書類一式を作成し、本店の住所へ発送いたします。
*完全オンラインでの手続の場合には、PDFデータをお送りし、それに電子署名をしていただきます。詳細については、こちらをご覧下さい。

STEP

ご捺印書類のご返送(お客様

届いた書類にご捺印の上、ご返送いただきます。

STEP

登記申請

・登記申請を行い、弊所から法務局へ必要書類一式を郵送いたします。

STEP

登記簿謄本の取得

登記完了を確認後、法務局にてお客様に代わって登記簿謄本1通を取得いたします。

STEP

完了書類一式の発送

お客様のご希望の住所へ、議事録を含む登記完了書類一式をお送りいたします。あわせて、商号変更後の定款のWordデータも納品お送りいたします。
 *完全オンライン申請の場合には、紙の登記完了後の謄本のみのご郵送となります

目的変更登記のご依頼に含まれる業務内容


・類似業種の上場企業の目的内容の確認。ベンチマークとなる会社がいれば、そちらの目的内容も確認
・変更後目的案の作成及びご提案
・目的変更に関する登記手続に必要となる書類の作成
・目的の記載を新しくした後の新たな定款の作成(Word納品含む)
・登記完了後の会社謄本の取得

当事務所の特徴

・代表司法書士が全ての手続きを担当

当事務所は、代表司法書士であるわたくしが全てのやりとりを担当させていただきます。一度説明したはずの内容を担当者が変わったがために、また説明しないといけないなどといった手間は一切発生しませんし、お問い合わせにもスピーディーに回答することができます。また、手続きを進めていく中で生じた疑問点などに関しましては、いつでも何度でも代表司法書士に直接ご相談いただけます。

・様々なツールでのご連絡が可能

 メールや電話のみならず、ChatworkやSlackでのご連絡のやり取りも可能です。
 *資料の共有やリモート相談などとの連携が容易なため、原則として上記のチャットツールでのやりとりをお願いしております。

・完全オンラインでの登記手続への対応が可能

 代表取締役(合同会社の場合には「代表社員」)がマイナンバーカードをお持ちで署名用電子証明書のパスワードを失念されていないことが前提ではありますが、弊所からお送りするPDFデータに所定のアプリを利用し電子署名していただくことで、捺印書類の郵送のやりとりなく目的変更登記手続を完了することも可能です。
 完全オンラインでの登記申請手続に関する詳細については、こちらをご確認ください。

目的変更登記の料金

料金:79,800円(税込、実費込)
*変更後定款データの作成、変更後定款Wordデータ納品も含みます。

対象地域

日本全国対応可能です!郵送やZoomを使用することで、直接面談することなく手続きを進められますので、関西圏以外の方からのご依頼でも別途交通費等の追加費用が生じることはございません。

よくある質問

登記する会社の事業目的の数には制限がないと聞きました。当社は、まだどんな事業をするか定まっていないので、将来的に行いうる事業を全て登記してもよいですか?

 定める目的の数に上限はありませんので、将来行うかもしれない事業を全て記載することは可能です。しかし、わたし個人としては、記載する目的を増やしすぎることは、オススメいたしません。
 なぜならば、登記簿は誰でも取得できる資料であり、取引先や銀行に提出することが多い資料なのですが、登記されている目的の量が多いと何に力をいれている会社かわかりづらくなってしまうからです。
 また、昨今、マネーロンダリングに対する規制の強化などの影響で、登記されている事業と実際行っている事業が一致しているかについての銀行のチェックの目は厳しくなってきています。その視点からみても、実際に行っていない事業を将来行うかもしれないからといって登記してしまうのは、オススメできません(通常、口座開設時には、登記簿と一緒に事業計画書も銀行に提出しますので、そこで不審がられる危険性もあります。)
 加えて、全く行っていない事業が登記されていると、融資を受ける際や資金調達をする際に、銀行や投資家及びVCなどから悪い印象を持たれかねません

新しく事業を行うとしてネットで調べていたところ、その事業を行うためには設立登記完了後に、許認可を取得することが必要だと聞きました。いままで行っていた全ての事業にも許認可が必要なのかと不安になってきたのですが、許認可が必要な事業にはどんなものがありますか?

行う全ての業種について、許認可が必要となるわけではありません。以下に、代表的な許認可などが必要となる業種とその事業目的記載例及び必要となる許認可の種類を記載します。ご参考にしてください。

*許認可ではなく、他にも設立登記完了後の届出や登録が必要な業種も多数ありますが、それは記載省略させていただいております

業 種許認可等
建設業
(建設業並びに建築工事の企画、調査、測量、設計及び監理業)
(土木工事業・建築工事業)
建設業許可(資本金500万円以上である必要あり)
*特定建設業許可を除きます
電気工事業
(電気工事業)
建設業許可
*500万円未満の軽微な電気工事のみの場合には、不要
酒類販売業
(酒類販売業)
・酒類小売業免許
・酒類卸売業免許
古物営業
(古物営業法に基づく古物商)
古物商営業許可
宅地建物取引業
(宅地建物取引業)
(不動産の売買・貸借・管理及びその仲介)
宅地建物取引業免許
産業廃棄物処理業及び産業廃棄物収集運搬業
(産業廃棄物収集運搬業)
*建設業許可とあわせて取得することも多いです。産業廃棄物収集運搬業許可の詳細については、こちらをご確認ください。
・産業廃棄物処理許可
・産業廃棄物収集運搬業許可
*上記2つをあわせて、単に「産廃許可」と呼ぶこともあります
有料職業紹介事業
(有料職業紹介事業)
有料職業紹介事業許可(資本金500万円以上である必要あり)
*詳細については、こちらをご確認ください。
労働者派遣事業(労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業)労働者派遣事業許可(資本金2000万円以上である必要あり)
運送業
(貨物自動車運送業)
(一般乗用旅客自動車運送事業)
(特定乗用旅客自動車運送事業)
・一般貨物自動車運送事業許可
・特定貨物自動車運送事業許可
*詳細についてはこちらをご確認ください。
・旅客自動車運送事業許可
*詳細についてはこちらをご確認ください。
風俗営業(バー、パチンコ店等)
(風俗営業その他料理飲食店等の経営事業)
風俗営業許可
*詳細については、こちらをご確認ください。

当社はスタートアップです。当初行っていた事業進捗が芳しくなく、ピボットしました。ピボットした場合にも、目的の変更登記は必要ですか?

スタートアップ業界でいう、「ピボット」とは「事業内容の転換」を指しますので、まさに目的変更の登記が必要な場面です。きちんと目的変更の登記をしておかないと、仮に実質的にはその事業自体は行えたとしても、対外的にはその事業を行っていることが公示されていない状態になります。つきましては、第三者と取引する場合に支障がでたり、デット調達・エクイティ調達する場合には、現在の事業内容と登記簿上の目的が一致するような登記を事前に求められるため、想定以上に時間がかかったりする可能性があります。

当社はスタートアップです。開発しているアプリ内でクローズドなメッセージのやり取りできる機能を実装する予定なのですが、なにか必要な許認可はありますか?

電気通信事業の届出が必要となります。電気通信事業の届出の要否やその詳細について教えてくれるこのようなGPTsもありますので、気になる方は、ぜひ使用してみてください。

今回、会社を閉めることになりました。株主総会で全ての目的を廃止する定款変更をすれば、会社をとじることはできますか?

できません。会社の目的は定款に絶対に記載しなければならない事項(「必要的記載事項」といいます)なので、それを全て廃止することはできません。また、冒頭で述べたとおり、会社は目的の範囲内でのみ権利義務を有するものとされているところ、目的を全て廃止すると、会社をとじるための事務を行うための権利すら有しないということになってしまいます。
*会社をとじるための手続である、解散及び清算結了の詳細については、こちらをご覧下さい。(準備中)

許認可の申請手続は、司法書士さんに依頼することができますか?

許認可の申請手続を代理できる士業は、行政書士だけです。行政書士登録もあわせてしている司法書士には、許認可もあわせて依頼することは可能ですが、司法書士のみしか登録していない事務所には、許認可を依頼することはできません。
当事務所は、行政書士登録はしていませんが、信頼できる提携先の行政書士の先生をご紹介することは可能です。許認可に強い行政書士をお探しの場合も、お気軽にご相談いただければと思います。

司法書士からひと言

目的変更登記は、会社の事業内容の変更を適切に反映し、法的要件を満たすための重要な手続きです。新規事業の展開や既存事業の変更時には忘れずに行いましょう。適切な目的変更登記を行うことで、取引先との信頼関係構築や円滑な事業運営につながります。目的変更登記については、商業登記のプロである司法書士に依頼することで、経営者のみなさまには、もっとも貴重な時間という資源を節約し、事業成長に全力を注いでいただけますと幸いです。


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この記事を書いた人

石本 憲史のアバター 石本 憲史 司法書士・スタートアップデザイナー®

大阪司法書士会東支部 所属(第4973号)
簡易裁判所訴訟代理権等能力認定(第1201092号)

●所属団体
BAMBOO INCUBATOR、smartroundパートナー

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