毎年10月中旬に、ある要件を満たす会社には特別なお手紙が届くことをご存知でしょうか?そのお手紙とは「休眠会社等の整理作業の通知書」といい、本ブログ内にて解説する「みなし解散」についてのお知らせです。
通知書のサンプル
法務省HPより引用
このブログでは、みなし解散ともそもそもなんなのか、ということからその目的やプロセスなどにわかりやすく解説していきます。
- そもそも、みなし解散とは?
- みなし解散のプロセス
- 本年度(令和6年度)における状況
- みなし解散に関するよくあるご質問
- みなし解散の登記と普通の解散の登記は違う登記なのですか?違いがあれば、教えてください。
- ずっと会社に関する登記をしないまま放置していたら、会社の印鑑証明書の取得ができなくなりました。どうゆうことですか?
- みなし解散がされた場合には、会社の謄本もとれなくなるのですか?
- わたしが経営しているのは昔ながらの特例有限会社です。みなし解散の対象になりますか?
- わたしはコストパフォーマンス重視で創業したので、合同会社を経営しています。合同会社はみなし解散の対象になりますか?
- 法務局から通知書が届きました。そのまま放置しておくことは可能ですか?
- 法務局からの通知書の下にくっついていた申出書に押印して、法務局へ提出しました。来年以降はもう通知書はとどかず、みなし解散の対象とならなくなりますか?
- 当社はみなし解散の登記がすでにされてしまっている会社です。みなし解散の登記がされるまでの間に、取締役の全員が死亡してしまっています。どのように対応すればよいのでしょうか。
- 当社はみなし解散の登記がすでにされてしまっている会社です。みなし解散の登記がなされるまでの間に、取締役が死亡しています。そのような場合にはどう対応すればよいですか?
- 当社はみなし解散の登記がすでにされてしまっている会社です。みなし解散の登記がなされるまでの間に、代表取締役が引っ越して住民票上の住所が変わっていました。上記記載の法定清算人の登記に先立ち、その旨の登記は必要になるでしょうか?
- みなし解散になるような会社には、もうその実体がなく、登記簿上の住所宛に通知書を送っても届かないケースもあると思います。そのような場合でも、みなし解散の対象となるのでしょうか?もし、通知書が届かない場合には、みなし解散の対象とならないのであれば、まさにみなし解散すべき会社の多くが、その対象とならないまま残ってしまうことになると思うのですが。
- どうしてみなし解散される場合には、官報公告だけでなく、各会社への個別の通知までしてもらえるのですか?官報に掲載されているのならば、それを見なかった会社のほうが悪いということになりそうな気もしますが。まあ、とはいえ当社も日常的に官報をチェックしているわけではないのですが、、、、。
- 司法書士からひと言
そもそも、みなし解散とは?
みなし解散とは、12年間一度も必要な登記申請や事業廃止の届出が行われていない株式会社を、経営実態がないとみなし、登記官によって強制的に解散させる制度のことを指します(会社法第472条第1項)。休眠会社(休眠一般社団法人)の整理作業とも呼ばれます。
みなし解散の主な目的
まず、みなし解散の目的は次のとおりです。
- 登記と実体との間に齟齬が生じ、商業登記制度の国民からの信頼を損なうことを防ぐ
- 休眠会社が権利を有しない者によって売買の対象とされ、会社犯罪の温床になることを防ぐ
- 同一商号の禁止により、会社の商号選択の自由が阻害されることを防ぐ
- 実際には活動していない会社の登記記録が徒に増えることによる登記事務の複雑化や非効率化を防ぐ
みなし解散の対象
みなし解散の対象となるのは、最後の登記をしてから12年を経過している株式会社です。この12年という期間は、非公開会社(上場企業ではない世の中の多くの会社)の取締役や監査役の任期を最長10年まで伸長できることを考慮し、さらに2年の猶予を加えて設定されています。
*同様に、一般社団法人が対象となることもありますが、本記事では割愛します。
なお、みなし解散制度については、法務省から詳細なリーフレットも出ておりますので、そちらもあわせてご確認いただけますとより理解が深まるかと思います。
みなし解散のプロセス
法務大臣が、12年以上登記がされていない株式会社に関する官報公告を行います。(会社法第472条第1項)
官報公告と同時に管轄法務局から該当の会社に対し、冒頭記載の「通知書」が発送されます。(会社法第472条第2項)
みなし解散をされたくない会社は、通知書の発送日から2か月以内に以下のいずれかの対応をする必要があります
- 必要な登記申請を行う
- まだ事業を廃止していない旨の届出をする
上記の対応がなされなかった場合、通知書の発送日から2ヶ月の期間の満了時に、解散したものとみなされ、登記官の職権により登記がなされます。(会社法第472条第1項)
会社法第472条(一部抜粋):休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年が経過したものをいう。以下この条において同じ。)は、法務大臣が休眠会社に対し2箇月以内に法務省令で定めるところによりその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その2箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。
みなし解散を回避する方法
みなし解散を回避するためには、以下の手続きを行う必要があります:
- 「まだ事業を廃止していない旨の届出」(会社法施行規則第139条)を提出する
- 2か月以内に「役員変更登記」などの必要な登記を行う(会社法第472条第1項ただし書)
これらの手続きを適切に行うことで、みなし解散を回避することができます。
なお、みなし解散となってしまった場合でも、3年以内であれば会社を継続することが可能です。(会社法第473条)
会社継続の詳細については、こちらをご覧下さい。
みなし解散のデメリット
みなし解散となった場合、以下のようなデメリットが発生します。
- 官報公告: みなし解散法人として官報に公告されます。
- 解散登記: 法人登記簿に「解散」の旨が記載されます。
- 取締役の自動退任: 取締役は自動的に退任することになります。
- 事業活動の制限: 清算会社扱いとなり、通常の事業活動が大きく制限されます。
- 法人税申告の負担増: 解散事業年度の法人税の申告義務が発生し、確定申告が1回分増えます。
みなし解散を防ぐための対策
みなし解散を防ぐためには、以下のような対策を講じることが重要です:
- 定期的な登記: たとえ役員のメンバーに変更登記がなくても、重任登記などの役員変更登記を適時に行う。
- 登記情報の確認: 定期的に自社の登記情報を確認し、最後の登記から長期間経過していないか確認する。
- 通知書の確認: 法務局からの通知書が届いた場合、速やかに内容を確認し対応する。
- 司法書士との日常点なコミュニケーション: 登記の専門家と繋がり、いつでも相談できる状況を作る。。
本年度(令和6年度)における状況
2024年10月10日、12年以上未登記の株式会社に通知書が発送されています。
詳細については、こちらをご覧下さい。
みなし解散をさけるには、2024年12月10日までに、新たな登記か事業廃止していない旨の届出が必要です。
同日以降は、会社は解散し、取締役は自動的に退任することになります。
*休眠会社のみなし解散については、平成26年度まではほぼ5年に一度の間隔で行われていましたが、平成26年以降は毎年行われるようになっています。

法務省HPより引用
みなし解散に関するよくあるご質問
司法書士からひと言
株式会社のみなし解散は、長期間登記を放置した会社に対する法的措置です。この制度は、商業登記の信頼性維持や犯罪防止などの重要な役割を果たしていますが、会社にとっては大きなリスクとなる可能性があります。経営者は、みなし解散のリスクを認識し、定期的な登記情報の確認と適時の登記手続きを行うことが重要です。
また、万が一みなし解散となった場合でも、3年以内であれば会社を継続する道が残されていることを覚えておきましょう。司法書士などの専門家と繋がり適切な登記管理を行うことで、みなし解散の登記が生じる可能性は、限りなく低くなります。商業登記のプロである司法書士とうまく連携しつつ、みなし解散制度を正しく理解し、適切に対応することを心がけましょう。
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