代表取締役等住所非表示措置とは? 申出の条件・必要書類・費用

代表取締役等住所非表示措置は、株式会社の代表取締役・代表執行役・代表清算人の住所について、登記事項証明書などでの表示を行政区画まで(東京都は特別区、指定都市は区まで)にとどめる制度です。2024年10月1日に始まりました。住所のすべてが消えるわけではなく、対象となる登記の申請と同時に申し出る必要があります。本ブログでは、申出の条件、必要書類、費用と注意点を説明します。

こんなお困り事はありませんか?
  1. いままで登記簿にのっていた代表取締役の住所が隠せるようになったと聞いたけど、具体的な手続がわからない。
  2. 代表取締役の住所変更登記は、これまでもウェブサービスを使って自分で登記申請したことあるけれど、今までどおり自分で申請してもいいの?
  3. どのような時に代表取締役の住所が隠せるようになるの?
  4. 代表取締役の住所を隠す手続を進めるにあたっては、だれ(どの士業)に相談すればいいの?
住所の登録は残り、証明書の表示が変わります
法務局の登記記録
代表取締役等の住所は、全体が記録されます。
登記事項証明書など
対象となった住所は、都道府県・市区町村までを表示します。
東京都は特別区、指定都市は区まで表示します。過去に登記された住所までさかのぼって隠れる制度ではなく、転居後も住所変更登記が必要です。
目次

なかなか難しい代表取締役の住所非表示措置の手続き

代表取締役等住所非表示措置を利用するには、代表取締役等の住所が登記されることとなる登記の申請と同時に、所定の書面を添えて申し出ます。設立、代表取締役等の就任・住所移転による変更などが対象です。住所に変更がなくても、重任の登記や、管轄外への本店移転に伴う新本店所在地での登記と同時に申し出ることができます。増資の登記だけでは申し出られません。

会社設立時から利用したい場合も、設立登記の申請と同時に申し出ます。設立後に非表示の申出だけを追加することはできませんので、申請前に必要書類を確認してください。詳しい要件は、法務省「代表取締役等住所非表示措置について」をご確認ください。

そもそも代表取締役等住所非表示措置とはどのような手続きなのか

ところで、代表取締役等住所非表示措置を行うためには、どのような書類を作り、どんな手続きを進めていくことになるのでしょうか。

STEP
必要書類のご準備

必要な資料をご準備いただきます。

  • 定款
  • 代表取締役個人の住所がわかる運転免許証の両面orマイナンバーカードの表面
  • 株主名簿(1度でも決算申告を終えている場合には決算書上の「別表2」という書類)
STEP
Zoom MTGにて登記申請の要否and住所非表示措置の申出の可否の判断

現在の登記簿上の記載内容及び上記資料の確認をさせていただきます。30分(無料)相談となります。
この申出は、一定の種類の登記事項の変更と同時にのみ申請することができる手続ですので、御社の最新の登記簿を取得し、対象となる登記変更が発生しているか及び代表取締役の住所を隠す措置ができるかを当方にて判断いたします。

STEP
本店所在場所の実在性確認or配達証明郵便の発送

当事務所にて代表取締役の住所を隠す措置が法務局に認められるよう、調査・対応を行います。なお、本店の賃貸借契約書は、実在性を証する書面にはなりません。契約書は、その場所に会社が物理的に存在することを示すものではないためです。

STEP
法務局への申出

以下の3点の書類全てを提出し、登記申請とあわせて法務局への申出を行います。

  • 株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面
    「株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便により送付されたことを証する書面」or「資格者代理人(司法書士または弁護士)の法令に基づく確認の結果を記載した書面」
  • 代表取締役等の氏名及び住所が確認できる証明書など(下記のうち、いずれか1点で足ります)
    ① 住民票
    ② 戸籍の附票
    ③ 印鑑証明書
    ④ 運転免許証や個人番号カード等の写しであって、当該代表取締役等が原本と相違ない旨記載し、記名したもの
    ⑤ 氏名及び住所が記載された日本国領事が作成した証明書(在留証明書など)
  • 実質的支配者の本人特定事項を証する書面
    ① 登記の申請を受任した資格者代理人(司法書士または司法書士法人に限ります)が犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)の規定に基づき確認を行った実質的支配者の本人特定事項に関する記録の写し
    ② 実質的支配者の本人特定事項についての供述を記載した書面であって公証人の認証を受けたもの
    申出と同時にする登記申請の日の属する年度またはその前年度に認証を受けたものに限り、上記資料として使用することができます
    ③ 設立時に認証された原始定款とともに受領した「申述受理証明書」
    *申出と同時にする登記申請が設立年度及びその翌期に限り上記資料として使用することができます

    ※実質的支配者リストについて、申出と同時にする登記申請の日の属する年度またはその前年度に保管の申出(または写しの交付)をしており、その旨を登記申請書に記載した場合には、この書面の添付は不要です

どの登記と同時なら申し出られるのか

この措置は、思い立ったときにいつでも申し出られるものではありません。申し出られるのは、代表取締役等の住所が新たに登記される登記の申請と、同時にするときだけです(商業登記規則31条の3第1項)。ここでいう代表取締役等とは、代表取締役・代表執行役・代表清算人のことです。

申し出られる登記申し出られない登記(例)
設立の登記(新設合併・新設分割・株式移転・組織変更による設立を含む)
代表取締役等の就任・重任の登記(代表権を付与した場合を含む)取締役・監査役・清算人の就任・重任の登記
代表取締役等の住所変更の登記代表取締役等の住所の更正の登記、氏名の変更の登記
管轄外へ本店移転する場合の、新本店所在地における登記同じく、旧本店所在地における登記

増資や商号変更の登記も、それだけでは申し出られません。ただし、同じ機会に代表取締役の就任の登記もするのであれば、そちらと同時に申し出られます。

なお、一度この措置を受けている会社について、次の登記でも同じ住所を登記するときは、登記官が引き続き措置を講じます(商業登記規則31条の3第3項)。重任のたびに申し出直す必要はありません。住所が変わる登記をするときや、非表示の対象となる方を追加するときはあらためて申出が必要になりますが、その場合に添付するのは、対象となる代表取締役等の氏名と住所が記載された証明書だけで足ります(同条1項2号)。

それぞれの判断の理由や、一度申し出たあと自動で続く場合・続かない場合については、代表取締役の住所非表示措置は、どの登記と同時なら申し出られる?で詳しく説明しています。

当事務所の解決事例

当事務所では、代表取締役等住所非表示措置の登記につき、これまでに様々な状況のお客さまよりご依頼をいただき、業務にあたってまいりました。

事例1「起業したいけれども代表取締役個人の住所が登記簿上にのることがネックで起業を躊躇していたケース」

ご自身が個人として行っていた事業が軌道にのってきて、新しくバーチャルオフィスを借りて法人化を検討していた女性のお客様。法人化に伴い、代表取締役の住所が登記簿にのってしまうことを苦慮されて今まで法人化に踏み切れなかったとのこと。この措置を利用することで、誰でも取得できる登記事項証明書に住所の全部が出ることはなくなり、法人化を決意され、弊所へご依頼いただきました。ご依頼後、無事登記手続きも完了しました。お客様はこれまでの懸念事項が解消され、晴れやかな表情をしていらっしゃいました。

なお、本店をバーチャルオフィスに置いている場合でも、この措置は利用できます。本店の実在性を証する書面は、その所在場所が訴状などの送達先として機能することを確かめるためのもので、会社あての郵便物がその場所に届くのであれば足りるとされています。シェアオフィスやレンタルオフィスも同じです。ただし、郵便物を受け取れないタイプのバーチャルオフィスでは使えませんので、契約内容の確認が欠かせません。

事例2「東京から大阪へ本店を移転したケース」

これまで東京で事業を行っていた会社が大阪にオフィスを移転されるとのご相談。新たに大阪にオフィスを構えるにあたり、代表取締役の住所を隠す措置をご希望されました。このタイミングで申出の手続をすることにより、大阪で新しく作られた登記簿では、代表取締役の住所を隠すことができました。
※本店移転登記の詳細につきましては、こちらをご確認ください。

代表取締役等住所非表示措置のこと、当事務所に相談してみませんか

代表取締役等住所非表示措置の手続きを自社で進めようとしても、そもそもどのような登記手続を行う際に申し出ることができるのか。申し出る場合にどのような書類が必要となるのか。申し出た場合に、どのようなデメリットがあるのかについて、なかなか理解する時間がとれないという状況も多いのではないでしょうか。

当事務所では、上記措置に関するサポート業務を提供中です。ご依頼いただきますと、手続き面に関しては全て当事務所にお任せいただき、送られてきた書類にハンコを押すだけで登記手続きを完了させられる、というメリットがあります。

お困りの方は、当事務所に一度ご相談ください。初回相談は無料です。

当事務所の特徴

代表司法書士が全ての手続きを担当

 当事務所は、代表司法書士であるわたくしが全てのやりとりを担当させていただきます。一度説明したはずの内容を担当者が変わったがために、また説明しないといけないなどといった手間は一切発生しませんし、お問い合わせにもスピーディーに回答することができます。また、手続きを進めていく中で生じた疑問点などに関しましては、いつでも何度でも代表司法書士に直接ご相談いただけます。

様々なツールでのご連絡が可能

 メールや電話のみならず、ChatworkやSlack(Slackコネクト含む)でのご連絡のやり取りも可能です。

 *資料の共有やリモート相談などとの連携が容易なため、原則としてChatwork又はSlackでのやりとりをお願いしております(いずれも無料でアカウント作成が可能です)。

他市町村や他府県への本店移転後に必要となる他士業のご紹介も可能

 管轄外への本店移転(一定の市区町村から一定の市区町村への移転、他都道府県への移転など)を伴う場合、新天地で活動するにあたってそのエリアに根ざした各種の士業の先生を探す必要があるかと思います。当事務所では、様々なエリアの複数の士業の先生方と繋がりがありますので、そういった業者さんのご紹介も可能です。

完全オンラインでの登記手続にも対応

代表取締役となる予定の方が「マイナンバーカードをお持ちで署名用電子証明書のパスワードを失念されていない」ことが前提ではありますが、登記申請に関する資料のやりとりについては、弊所からお送りするPDFデータに指定のアプリを使用し電子署名していただくことで、捺印書類の郵送のやりとりなく登記手続を完了することも可能です。

代表取締役等住所非表示措置の料金

料金:6万6,000円(税込)

支払時期に関しましては、登記申請前のタイミングでのお支払いをお願いしております。

※同時申請する登記変更手続の費用は、別途かかります。

対象地域

日本全国対応可能です!郵送やZoomを使用することで、直接面談することなく手続きを進められますので、関西圏以外の方からのご依頼でも別途交通費等の追加費用が生じることはございません。

ご依頼の流れ

STEP
お問い合わせ

まずはお気軽に、お電話かお問い合わせフォームからお問い合わせください。
お問い合わせの際には、リモート面談希望日時を3つほどご記入いただけますと幸いです。

STEP
初回リモート面談・ヒアリング

初回のリモート面談の費用は、無料です。

お客様の現在の状況をお伺いした上で、必要となる登記手続や代表取締役の非表示措置の申出の可否をご説明させていただきます。

初回相談にあたりましては、次の資料のご準備をお願いいたします。
①御社の最新の定款
②御社の最新の登記簿謄本
③御社の株主がわかるもの(決算申告が1期以上お済みの場合には、決算書の中の「別表2」というページ)
④次のいずれかの本人確認資料
 マイナンバーカードの表面or代表取締役の個人の住所の確認できる運転免許証の両面
⑤代表取締役の住民票or戸籍の附票

※設立登記と同時に申し出る場合には、上記①~③は不要です。④・⑤とあわせて代表取締役の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)をご準備ください。設立登記の詳細については、こちらをご参照ください。

STEP
お見積

ヒアリング内容を元に、登記手続を含む今回の一連の手続に関するお見積を作成いたします。

STEP
ご依頼・ご契約

ご依頼いただける場合、クラウドサインにて正式に契約を締結します。

STEP
ご捺印書類一式の作成及び発送

お客様からヒアリングさせていただいた内容をもとに申出書を作成します。同時に必要となる登記手続書類も作成発送いたします。

STEP
ご捺印書類のご返送

届いた書類にご捺印の上、ご返送いただきます。

STEP
登記申請と同時に申出

オンラインにて登記申請を行い、あわせて、弊所から法務局へ必要書類一式を郵送いたします。

STEP
登記簿謄本の取得

登記完了を確認後、法務局にてお客様に代わって登記簿謄本を取得いたします。
管轄外への移転の場合には、新しい法務局において発行される印鑑カードも一緒に取得いたします。
なお、非表示措置は登記が完了したあとに処理されるため、申請用総合ソフトで「完了」と表示されても、すぐには登記事項証明書を取得できないことがあります。

STEP
完了書類一式の発送

お客様のご希望の住所へ、登記完了書類一式をお送りいたします。


ご覧いただきますと分かるとおり、直接、事務所にご来所いただくことなくハンコを押すだけで、全ての手続きを完結することが可能です!

スタートアップの資金調達と住所非表示措置

スタートアップの資金調達では、VCや金融機関が投資前の調査(デューデリジェンス)で会社の登記事項証明書や登記情報を確認するのが通常です。代表取締役の住所を非表示にしていても、相手方が本当に必要としているのは代表者本人の確認資料であることが多く、その場合は住民票や印鑑証明書を別途提出すれば足ります。非表示措置をとっているからといって、それ自体が調達の妨げになることは基本的にありません。

一方で、投資契約の締結や口座開設の場面で、登記簿から代表者の住所を確認できないため、追加資料を求められることがあります。必要となる資料は提出先に確認してください。資金調達に伴って代表取締役の就任・重任や管轄外への本店移転などの登記も行う場合には、非表示措置を同時に申し出られるか確認します。増資の登記だけでは申し出られないため、予定している登記の内容をあわせてお知らせください。

代表取締役等住所非表示措置に関するよくあるご質問

代表取締役の住所を隠す措置をとった場合には、インターネットで取得する登記情報だけでなく法務局で取得する登記簿謄本にも住所はのらなくなるのですか?

はい。措置の対象となった住所は、登記事項証明書・登記事項要約書・登記情報提供サービスで、市区町村まで(東京都は特別区、指定都市は区まで)の表示になります。ただし、対象は申出と併せて申請する登記によって記録される住所です。以前の登記に記録された住所まで、さかのぼって非表示になるわけではありません。

代表取締役の住所を隠す申出だけをすることは可能ですか?

登記と関係なく、代表取締役等住所非表示措置のみを法務局に申し出ることはできません。

Web上の会社設立サービスを使って会社を設立しようと考えています。自動的にこの措置の対象となり、住所は隠れますか?

会計ツールを提供するWebサービス上で会社設立登記申請に必要な書類を出力するサービスがありますが、そのサービスを使って会社を設立した場合には、通常、代表取締役の住所はいままでどおり登記簿にのります。

そのサービスの中には、現状、設立の登記と同時に、代表取締役等住所非表示措置をとるシステムがくみこまれていないからです。

この措置の申出についてはだれに相談すれば良いのですか?

登記とあわせた申出は、司法書士にご相談いただけます。法務局に提出する書類や、同時に行う登記の内容を確認して進めます。ほかの法律問題を伴う場合には、必要に応じて弁護士などの専門家と連携します。

よって、仮に顧問弁護士などがいらっしゃる場合でも、本制度の申出にあたっては、別途、司法書士への相談をオススメいたします。

わたしの会社は合同会社です。この措置の対象になりますか?

合同会社はこの措置の対象になりません。2024年10月1日の改正では、合同会社の代表社員(株式会社でいうところの代表取締役にあたるもの)はその対象とされていません。よって、合同会社はそもそも代表取締役住所非表示措置の申出をすることができません。

なお、合同会社は株式会社へ移行することができますが(法律上「組織変更」といいます。)、株式会社へ移行後にこの措置の対象となる登記をすることになった場合は、もちろんその際に代表取締役の住所を隠すことは可能です。

わたしの会社は古くから営業している特例有限会社です。この措置の対象になりますか?

特例有限会社はこの措置の対象になりません。また、そもそも特例有限会社においては、取締役(代表取締役ではない)の住所及び氏名が登記事項となっており、代表取締役の住所は登記されていません。この措置は、あくまで会社を代表するものの住所を隠すことを意図したものであるため、もともと代表取締役の住所が登記されていない特例有限会社においては、その住所を隠すための措置を講じるという必要性がありません。

なお、特例有限会社においては、登記簿をみるだけで取締役の住所を確認できるということは従前と変わりませんので、今後、申し出ることによって取締役の住所を隠すことができる措置が作られる可能性はあります。

今まで代表取締役が引っ越した場合などには、代表取締役の住所を変更する登記が必要であるとして、登記手続を司法書士さんに頼んでいました。住所を隠す措置をすれば、もうその変更登記手続は必要なくなるのですか?

代表取締役の住所の変更があった場合には、今までどおり代表取締役の住所変更の登記が必要です。あくまで、代表取締役等住所非表示措置は、登記簿上で代表取締役の住所が特定できる情報を表示しないようにする手続であり、法務局にあるおおもとの台帳では、代表取締役の今現在の住所はきちんと登記されています。

 ですので、これまでどおり、代表取締役の住所に変更があった場合には、そのおおもとの台帳の住所を現在の住所に変更する登記は必要です。

 なお、これまで司法書士は、登記簿から代表取締役の住所を確認しそれと印鑑証明書の住所や本人確認資料(運転免許証やマイナンバーカード)の住所を照合して、代表取締役の住所に変更がないか確認していました。しかし、申出をした場合には、登記事項証明書や登記情報では、政令指定都市の場合には区まで(大阪市中央区、大阪市北区)、東京都の場合には特別区まで(東京都渋谷区、東京都新宿区)、それ以外の場合には市区町村までしか表示されないことになります。よって、その範囲内で引っ越しした場合には、印鑑証明書その他の資料で代表取締役の住所を確認することができないため、代表取締役の方ご自身から登記簿上の住所から登記住所の変更があった旨を申し出ていただく必要があります。
 この申出がなく、代表取締役の住所の変更登記をしないまま代表取締役の新しい住所をもって登記申請した場合、おおもとの台帳に記載されている代表取締役の住所と申請書に記載されている代表取締役の住所が異なるため登記が受理されない(登記申請を法務局が受け付けてくれない)という事態が生じます。

 同じ区や市の中で引っ越した場合も同じです。証明書に表示される部分は変わりませんが、住所変更の登記は必要ですし、非表示を続けるには、その登記と同時にあらためて申出をします(このときの添付書面は、住所を証する書面だけで足ります)。なお、非表示措置を受けていても、登記の申請書には住所の全部を書きます。

会社をとじる場合にも、代表取締役の住所を隠せるようになったと聞きましたが、どうゆうことですか?簡単に教えてください。また、そのメリットについても教えてください。

会社をとじる場合には、法律上、「解散・清算結了」という手続をとることになります。上記の手続を取った場合、会社には「代表清算人」という会社をとじる手続を行う担当者が選ばれます(事実上、その時点の代表取締役がそのまま代表清算人になることが多いです)。
その場合、代表取締役と同じく、原則としては、代表清算人個人の住所が登記簿にのることになります。その代表清算人個人の住所も2024年10月1日以降は、隠すことができるようになります。

会社をとじる段階で、その代表者の住所を隠す必要なんてあるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、清算結了までの手続が完了した後には、登記簿は閉鎖し保管され、その閉鎖後の登記簿謄本も誰でもとることができます。その閉鎖謄本に代表清算人の住所が隠さずに登記されたままになっていると、閉鎖登記簿を取得した人は、誰でも代表清算人の住所(≑それまでの代表取締役の住所)を確認できてしまいます。

解散時に代表清算人の住所について非表示措置を申し出ることで、措置の対象となる住所の一部を非表示にできます。ただし、過去に登記された代表取締役の住所まで遡って非表示になるわけではありません。
*解散・清算結了登記の詳細については、こちらをご覧下さい。

申出にあたって郵便物受領書が必要と聞きましたが、具体的にはどのようなものが対象になりますか?

まず、郵便物受領書には2種類あります。
①こちらで宛先を手書きで書いて郵便局に持ち込むもの
②郵便局で宛先を書いてそれを読みこみ、読みこみデータを出力した紙として受けとるもの

今回の申出にあたっては、①ではなく②が有効になります。

なお、後者を添付する場合には、必ず出力した紙に、対象となる会社の本店所在地(本店として登記簿記載されている具体的な住所)も読み込まれるように郵便局に依頼しましょう。

また、郵便局によっては、②の対応をしていない郵便局である可能性もあるので、注意してください。

設立時から本制度の適用をうけるにあたっては、「配達証明書」を添付する必要があるときいたのですが、それはどのような資料になりますか?

まだ株式会社の存在前ではあるが、設立する株式会社の商号及び本店所在場所を記載した郵便が届き、配達証明・受領証があれば、それが「配達証明書」になります(現時点のものであり、制度運用開始後、変更になるおそれがあります)。

代表取締役の住所を隠すことによるデメリットはなにかありますか?

代表取締役等の住所非表示措置が講じられた場合、今まで行うことができていた、登記簿上の代表取締役の住所と、代表取締役個人の本人確認資料を照合することによる、目の前の人がその会社の代表取締役本人である確認ができなくなります。

そのため、銀行手続や会社関係の登記手続、不動産登記手続のために用意するものや作業が多くなる、あるいは他の会社と取引をする際にそれがネガティブに働く可能性もあり得ます。

もうひとつ、登記の申請書とその添付書面については、利害関係のある方から閲覧の請求があった場合の取扱いがこれまでと変わりません。住所が記載された部分を塗りつぶすといった対応はされないことになっています。また、官公署から請求があった場合には、住所の情報が提供されます。誰でも取れる証明書に出なくなるという制度であって、どこからも住所が分からなくなる制度ではない、とご理解ください。

実際に手間が増えるのは、会社の相手方の側です。たとえば会社が不動産を売却して所有権移転の登記をするとき、司法書士は登記事項証明書と印鑑証明書に加えて、代表取締役の運転免許証などを見せていただき、氏名・生年月日と、表示されている範囲の住所を突き合わせて本人確認をすることになります。利益相反取引を承認する取締役会議事録に代表取締役個人の実印を押す場面などでは、正確な住所を確かめるために、登記所で過去の申請書類を閲覧することもあります。

申出をして代表取締役の住所を非表示にしていましたが、取引先とのやり取りの中で不都合がでてきたので、措置を中止して登記簿上に代表の住所をのせたいと思っています。隠していた住所をのせなおすことはできますか?

代表取締役等住所非表示措置を終了させる(「非表示を希望しない」旨の)申出をすることにより、いつでも住所をのせなおすことはできます。

最初に代表取締役住所非表示措置をとる場合と異なり、こちらの手続は登記手続とは無関係にいつでもすることができます。

ただし、一時的に表示させて、あとでまた非表示に戻すという使い方はできません。できるのは措置を終わらせることだけで、もう一度非表示にしたい場合は、次に対象となる登記の申請と同時に申し出ることになります。また、終了の申出書には会社が登記所に届け出ている印鑑を押す必要があります。印鑑を届け出ていない会社は、印鑑の届出を同時に行います。

設立後、登記申請と同時に本制度の適用を受ける場合には、「株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便により送付されたことを証する書面」が必要となると聞きましたが。それは具体的にどんな書面ですか?

株式会社の商号(社名)及び本店所在場所が宛名として記載された書面を配達証明郵便により発送したその控え及び郵便物の受領証を指します。なお、配達証明書及び当該受領証に記載された株式会社の社名又は本店所在場所が登記簿記載のそれと一致しない場合には、この制度の適用対象となりません。
なお、株式会社の代表取締役の名前を併記して、その代表取締役の個人名でその郵便物が届いても、それはここでいう証明書には該当しません。
上記の場合には、「資格者代理人(司法書士または弁護士)の法令に基づく確認の結果を記載した書面」を添付する方法によってしか本制度の適用を受けることはできないと考えられます。

わたしは一般社団法人とNPO法人の2社の代表をしています。それぞれの代表として登記されているわたしの住所を隠すことはできますか?

一般社団法人及びNPO法人は、この措置の対象ではありませんので、申出を行うことはできません。

当社には、2人の代表取締役がいます。1つ申出をすれば、2人ともの住所を隠すことができますか?

あくまで1つの申出で非表示とすることができるのは、1人のみであり、非表示措置の対象者ごとに申し出る必要があります。2人ともの住所を非表示としたいのであれば、2つの申出を行う必要があります。

司法書士からひと言

代表取締役等住所非表示措置には、誰でも取得できる登記事項証明書などから、代表者の詳しい住所を知られにくくするというメリットがあります。一方で、銀行との取引や不動産登記などの場面では、本人確認のために追加資料を求められることがあります。どの登記と同時に申し出られるのか、直近の取引に影響がないかを確認したうえで、利用を検討していただければと思います。

 せっかく制度ができても、それを使いこなせないと、意味がありません。煩雑な制度の理解や申出手続は専門家に依頼し、ご自身は事業に集中しながら、新しい制度の恩恵を受けられるようにしていきましょう!代表司法書士であるわたくしが、最初から最後までしっかりとサポートさせていただきます。


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この記事を書いた人

石本 憲史のアバター 石本 憲史 司法書士・スタートアップデザイナー®

大阪・北浜で「いしもと司法書士事務所(ISHIMOTO Legal)」を運営する司法書士です。
スタートアップの資金調達にともなう商業登記(種類株式・J-KISS・新株予約権・第三者割当増資)と、定款や株主間契約まわりの設計を専門にしています。
AIを日々の業務に組み込んでいる司法書士として、同業の士業向けにAI活用の顧問サービスやセミナーも行っています。
大阪司法書士会 東支部所属(登録番号 大阪第4973号)/簡裁訴訟代理等関係業務認定(第1201092号)
所属団体:BAMBOO INCUBATOR、smartroundパートナー

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