官報の電子化と商業登記|添付するPDFと旧インターネット版官報との違い

官報に掲載した公告は、オンラインの登記申請にも使えるのでしょうか。商業・法人登記では、所定の官報PDFを添付情報として利用できます。また、2025年4月1日からは官報そのものが電子化され、官報発行サイトの電子データが正本になりました。本ブログでは、官報PDFを登記に使うときの扱いと、旧インターネット版官報との違いについて、わかりやすく説明します。

目次

官報の電子化と、旧「インターネット版官報」との違い

現在の官報は、内閣府の官報発行サイトで閲覧できます。2025年4月1日から、このサイトで発行される電子データが官報の正本です。発行から原則90日間は官報全体を閲覧・ダウンロードでき、90日経過後も、プライバシーへの配慮が必要な一部の記事を除いて利用できます。従来の「インターネット版官報」とは制度上の位置付けが異なります。

現在の官報PDFには、内閣府の電子署名とタイムスタンプが付与されます。登記に使うときは、公式サイトから取得したファイルを保存し、印刷してPDFにし直したり、内容を加工したりしないようにします。下図は、旧インターネット版官報のPDFで、国立印刷局による電子署名を確認した例です。現在の官報PDFの署名表示とは異なります。

官報PDFをオンラインの登記申請に添付する

官報PDFを添付するときの取扱いは、法務省の商業・法人登記のオンライン申請の案内で確認できます。

商業・法人登記のオンライン申請では、登記に必要な公告が掲載されたページを含む、1ページ単位の官報PDFを添付します。公告の部分だけを画像にしたり、PDFを加工したりせず、公式サイトから取得したファイルを使用してください。

≫商業・法人登記のオンライン申請について「第3 電子証明書の取得の注10」(法務省)

官報を添付する登記申請

官報が登記申請の添付書類となるケースの一例は次のとおりです。

  • 資本金の額の減少
  • 株券の廃止(株券発行会社が実際に株券を発行しているケース)
  • 吸収合併、吸収分割等の組織再編行為のうち、株券提出公告や債権者保護手続きが必要なケース。合同会社から株式会社への組織変更に伴う、変更後の株式会社の設立登記も含みます。

法律上は官報公告が必要であるが、官報を添付しない登記

会社法の法律上、その手続の実施にあたっては、官報公告が必要となるが、登記申請にあたっては、官報がその添付書類とならないケースもあります。一例は次のとおりです。

  • 解散及び清算人就任の登記
    会社の解散と清算については、会社の解散・清算の手続きをご覧ください。
  • 組織変更に伴う、変更前の合同会社の解散登記
    合同会社から株式会社への組織変更では、変更前の合同会社の解散登記と、変更後の株式会社の設立登記を同時に申請します。官報公告などの債権者保護手続をしたことを証する書面は、変更後の株式会社の設立登記に添付します。「組織変更では官報を添付しなくてよい」という意味ではありません(商業登記法123条・107条・78条)。詳しくは、合同会社から株式会社への組織変更をご覧ください。

よくある質問

官報発行サイトでは何時に官報を確認できますか?

官報は、行政機関の休日を除き、原則として午前8時30分に発行されます。緊急時の特別号外は、日時を問わず発行されます。詳しくは、官報発行サイトの案内をご確認ください。

官報PDFをダウンロードしてから登記に使うまでの有効期間はありますか?

ダウンロードした時期だけでなく、今回の登記に必要な公告であることや、法定の公告期間を満たしていることを確認します。保存したPDFを使用できるか判断に迷う場合は、公告日と登記の内容を伝えて、申請先の法務局へ確認してください。

官報PDFを自分で印刷した紙を、登記に添付できますか?

官報発行サイトのPDFを自分で印刷した紙と、国が交付する「官報掲載事項記載書面」は別のものです。オンライン申請では、所定の官報PDFを添付します。紙で申請する場合にどの書面を添付するかは、申請先の法務局へ確認してください。

90日より前の官報は、どこで調べられますか?

2025年4月1日以降に発行された官報は、原則90日間は全体を無料で閲覧・ダウンロードできます。90日経過後も、プライバシーへの配慮が必要な一部の記事を除き、官報発行サイトで閲覧できます。2025年3月31日以前のものは公開される範囲が異なり、2003年7月15日以降の法律・政令等と、2016年4月1日以降の政府調達の情報が提供されています。無料公開の対象にない過去の会社公告や、詳しい検索が必要な場合には、有料の官報情報検索サービスなどを利用します。

官報はすでに電子化されていますか?

はい。2025年4月1日からは、官報発行サイトで発行される電子データが官報の正本です。紙での交付制度もあるため、「紙がなくなった」という意味ではありません。詳しくは、内閣府の官報の電子化の案内をご覧ください。

司法書士からひと言

官報の電子化によって、紙の到着を待たずに登記の準備を進めやすくなりました。ただし、登記に添付できるデータの種類や、公告の内容・期間の確認は必要です。公告の掲載から登記申請までを見通して、早めに準備しておくと進めやすくなります。完全オンラインでの登記手続きをご希望の場合は、ご相談ください。


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この記事を書いた人

石本 憲史のアバター 石本 憲史 司法書士・スタートアップデザイナー®

大阪・北浜で「いしもと司法書士事務所(ISHIMOTO Legal)」を運営する司法書士です。
スタートアップの資金調達にともなう商業登記(種類株式・J-KISS・新株予約権・第三者割当増資)と、定款や株主間契約まわりの設計を専門にしています。
AIを日々の業務に組み込んでいる司法書士として、同業の士業向けにAI活用の顧問サービスやセミナーも行っています。
大阪司法書士会 東支部所属(登録番号 大阪第4973号)/簡裁訴訟代理等関係業務認定(第1201092号)
所属団体:BAMBOO INCUBATOR、smartroundパートナー

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