一般社団法人の活動内容が変わり、法人の名前を変えたいとき、どのような手続きが必要なのでしょうか? 正式な名称を変更するには、社員総会で定款を変更し、その効力が生じた日から2週間以内に名称変更登記を申請します。ウェブサイトや名刺の名前だけを変えても、登記上の名称は変わりません。本ブログでは、一般社団法人の名称変更登記について、わかりやすく説明します。
一般社団法人の名称変更登記とは
名称変更登記とは、一般社団法人の正式な名称を変えたときに、法務局の登記記録を変更する手続きです。名称は定款に記載しなければならない事項であり、登記事項でもあります(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律〔以下「一般法人法」〕11条1項2号、301条2項2号)。
一般社団法人の名称には、「一般社団法人」という文字を用いる必要があります(一般法人法5条)。たとえば「一般社団法人○○」を「一般社団法人△△」へ変える場合が対象です。「一般社団法人」を付ける位置を前から後ろに移す場合も、正式な名称の変更になります。
一方、活動やサービスの呼び名だけを変え、法人の正式名称を維持するのであれば、その呼び名の変更を理由とする名称変更登記は不要です。契約書や銀行口座などで使う法人名を変えるのか、活動のブランド名を変えるのかを分けて考えます。
名称変更には定款変更の決議が必要
法人の名称を変えるには、社員総会で定款を変更します(一般法人法146条)。代表理事がひとりで決めたり、理事会だけで決議したりして、定款上の名称を変更することはできません。
定款変更には、総社員の半数以上で、総社員の議決権の3分の2以上に当たる多数による決議が必要です(一般法人法49条2項4号)。定款に法定より重い要件がある場合は、その要件も確認します。
たとえば、社員が6人で、各社員が1個の議決権を持つ法人なら、法定の要件を満たすには4人以上の賛成が必要です。社員ごとに議決権の数が違う場合は、人数と議決権の両方を確認します。出席者ではなく総社員を基準に判定し、定款で法定の要件を緩めることはできません。
決議では、新しい名称と定款の変更内容を明確にします。将来の日を効力発生日にする場合は、その日も議事録に明記し、名刺やウェブサイト、取引先への案内を切り替える時期と合わせて準備します。
新しい名称を決めるときの確認
似た名前の団体がないか、取引先や会員に誤解されないかを確認します。他の法人と同じ所在場所で、同じ名称を登記することはできません(一般法人法330条により準用する商業登記法27条)。登記上の制限と、他者の名称や商標との関係は、別に考える必要があります。
登記できる名称であっても、商標や他団体との混同の問題まで解決するわけではありません。公開する前に、法人の名称、活動名、ドメイン名などをあわせて検討すると、変更後の使い分けを整理できます。当事務所では、ご依頼があった場合には、必ず商標の簡易調査を行い、必要な場合には、商標調査・登録の専門家である弁理士の先生をご紹介することが可能です。
また、一般社団法人から公益社団法人になる場合は、単に「一般」を「公益」に書き換える通常の名称変更とは異なります。公益認定に伴う手続きが必要なので、本ブログで扱う名称変更とは分けて確認してください。
登記の期限と登録免許税
名称変更登記は、定款変更の効力が生じた日から2週間以内に、主たる事務所を管轄する法務局へ申請します(一般法人法303条)。総会の日に効力が生じるならその日から、将来の効力発生日を定めたならその日から数えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 決定する機関 | 社員総会 |
| 決議の種類 | 定款変更の特別決議 |
| 登記期限 | 名称変更の効力発生日から2週間以内 |
| 登録免許税 | 名称変更だけの申請1件につき3万円 |
| 定款の再認証 | 不要 |
上記は、公益認定を受けていない一般社団法人の通常の名称変更を前提にしています。登録免許税は、登録免許税法別表第一24号(1)ツによるものです。司法書士へ依頼する場合の報酬や、登記事項証明書などの取得費用は別にかかります。
設立時には定款の認証が必要ですが、設立後のこの定款変更について、公証人の認証を受け直す必要はありません。社員総会で有効に変更したことを証明できるよう、議事録を整えます。
登記に必要になる書類
通常の名称変更で準備する主な書類は、次のとおりです。決議の方法や定款の内容によって、追加の確認が必要になる場合があります。
- 社員総会議事録(新名称と定款変更の内容を記載したもの)
- 定款(決議要件などの確認・証明のために必要な場合)
- 印鑑届書及び代表理事の個人実印の印鑑証明書
※通常、新たな名称の印鑑を法人実印として登録することになるため、必要となります) - 委任状(司法書士に依頼する場合)
社員名簿の管理と、登記申請に添付する書類は分けて確認します。
同時に事業目的や主たる事務所も変える場合は、各変更について必要な決議と書類、登記期限を整理します。名称変更の議事録だけで、ほかの変更の手続きも当然に済むわけではありません。
名称変更後に確認すること
名称を変えても、法人そのものが別の法人に生まれ変わるわけではありません。既存の契約上の地位や財産が、名称変更だけで他の法人へ移ることもありません。
ただし、銀行口座、契約先、許認可等の届出、ウェブサイトや請求書などについては、それぞれ名称変更の対応が必要です。登記の完了後に必要な証明書を取得し、各提出先の求める書類に従って進めます。
法人の印鑑に旧名称が彫られている場合は、新しい名称の印鑑を作るか、登記所に届け出る印鑑を変更するかも検討します。名称変更と印鑑の変更は同じ手続きではないため、登記と一緒に確認しておくと進めやすくなります。
よくある質問
司法書士からひと言
名前を変えるときは、決議や登記とあわせて、会員・取引先への案内を準備しておくことが大切です。新名称の効力発生日と、表示や書類を切り替える日をそろえると、相手にも伝わりやすくなります。活動の変化に合った名称を、手続きの面からも整えていきましょう。
司法書士 石本憲史(大阪司法書士会所属 登録番号 大阪第4973号)
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