「遺言の文例を探しているが、自分の会社に当てはまるものがどれか分からない」。経営者の遺言や相続の記事には、自社株・会社への貸付金・自宅と住宅ローンなど、場面ごとの条項例や記入例を載せています。掲載先には、遺言や遺産分割協議書の条項例のほか、遺言書の構成見本や準備メモもあり、〇〇を埋めるときに見る資料は文例によって異なります。この索引では、文例を載せた15記事を場面から探せるように並べました。
この文例集とは
この文例集とは、当ブログの「相続・事業承継」の記事に載せた遺言の条項例・遺産分割協議書の条項例・準備メモの記入例の索引です。文例の本文と、使うときの注意はそれぞれの記事に書いていますので、ここでは「どの記事に、どんな文例があるか」と「何を見て〇〇を埋めるか」だけをまとめます。
渡したい財産や目的が決まっている方は、下の見出しから文例のある記事へ進んでください。顧問税理士の先生などから遺言の準備をすすめられ、何を決めるかから整理したい方は「会社を経営している人の遺言ガイド|自社株・後継者・会社の登記まで」から読むと、準備の順序を確認できます。
自社株を渡す文例
自社株を後継者にまとめる条項の基本形は、遺言者が死亡時に持つ株式の全部を、後継者一人に「相続させる」と定める書き方です。後継者が先に、または同時に亡くなったときの予備の承継先まで定めた第1条・第2条の例は「会社を経営している人の遺言ガイド」にあります。
同じ2条の構成で、予備の相手を長男の子(孫)にした例と、文例のどこを自分の事情に合わせて変えるかの一覧は「遺言で自社株を後継者に集中させるには? 書き方のポイント」に載せています。会社と株式の特定の仕方、株数を固定しない理由もこの記事です。
相続人ではない従業員などに株式を渡すときは「相続させる」ではなく「遺贈する」になります。同じ株式を「相続させる」場合と「遺贈する」場合の2つの文例を並べて、会社の譲渡承認の違いを説明したのが「「相続させる」と「遺贈する」で何が違う? 譲渡制限株式と会社の承認」です。
一度書いた遺言の一部だけを変えたいときは、「令和〇年〇月〇日付遺言書の第〇条を撤回する」という撤回の文例が「社長の遺言は何歳で書く? あとから書き直せる?」にあります。
気持ちや希望を書き添える文例
株式を一人にまとめる理由をほかの家族に伝える付言事項の例は「自社株を後継者に集中させると、ほかの子どもの遺留分はどうなる?」にあります。付言事項に法的な効力はなく、遺留分をなくすものでもありませんが、家族の受け止め方を変えることがあります。
「長女に会社の経営を担ってほしい」という希望を、役員の選任は会社の手続に沿うことを前提に書き添えたいときは「遺言で次の社長を指名できる? 遺言でできること・できないこと」を確認してください。遺言で社長を決められるわけではないことも、この記事で説明しています。
遺言の形と、実行する人を決める文例
「経営者の遺言は、公正証書と自筆のどちらがいい?」には、表題・本文・日付・住所・署名押印まで含めた自筆証書遺言の構成見本を載せています。構成見本は形を示すもので、条項の内容はご自身の財産に合わせて書き直す必要があります。
公正証書遺言を作るときに公証役場へ伝える希望のメモ(会社・保有株式・渡したい相手・予備の相手・まだ確認できていないこと)の記入例は「公正証書遺言をつくる流れと、そろえる資料(登記簿・株主名簿・自社株の評価)」です。
遺言執行者を指定する一文の例と、候補者に引受けの範囲を尋ねるときの言い方は「遺言執行者は誰に頼む? 会社のことが分かる人を選ぶ視点」にあります。指定しただけでは就任が決まらないことも、この記事で確認できます。
株式以外の財産を渡す文例
社長が会社に貸したお金を相続人に渡す条項は、契約日と「死亡時に残存するものの全部」で貸金債権を特定します。「社長が会社に貸したお金は相続でどうなる? 役員借入金と自社株の違い」では、この文例と、どの日の残高を書くかの考え方を説明しています。
住宅ローンが残る自宅を子どもに相続させ、残るローンの負担を相続人の間で定める第1条・第2条の例は「住宅ローンが残る自宅を子どもに相続させたい。遺言にはどう書く?」にあります。家族の間で返済を引き受けることと、銀行に対する債務者を一人にすることは別の手続です。この違いは文例のすぐ下で説明しています。
遺言がなかったときと、準備のためのメモ
遺言がなく、遺産分割で後継者に自社株をまとめる場合の、株式の取得と代償金の支払いを分けて書いた遺産分割協議書の条項例は「遺産分割で後継者に自社株をまとめるには? 代償分割の考え方」です。一括払いの文例を分割払いにそのまま流用できない理由も、あわせて書いています。
準備の段階で使う記入例は3つあります。会社名義の財産と本人の財産を分けて書き出すメモは、資産管理会社のオーナーが、相続の対象になる財産とならない財産を整理するときに使います。
手元の資料と、次に探す資料を1枚にまとめるメモでは、家族関係・自社株・貸付金・不動産・借入れ・遺言のそれぞれについて、確認できているものと足りないものを書き出せます。
店舗の貸主への問い合わせ文は、個人事業主の店舗を継ぐときに、賃貸借契約の手続を貸主に尋ねるための例です。
〇〇を埋めるときに見る資料
文例の〇〇には、会社・人・株式・貸付金・不動産が入ります。思い出した内容ではなく、手元の資料に書かれているとおりに埋めるのが基本です。
| 文例の〇〇 | 埋め方 | 見る資料 |
|---|---|---|
| 会社(株式会社〇〇、本店:〇〇) | 登記どおりの商号と本店。会社が複数なら会社ごとに分ける | 登記事項証明書 |
| 人(長女〇〇〇〇、〇年〇月〇日生) | 続柄・氏名・生年月日を確認。相続人以外の人など、人物を明確に特定するために住所も書く場合は現住所を確認 | 戸籍。住所は住民票など |
| 株式(普通株式の全部、〇株) | 種類と数を株主名簿で確認。全部を渡すなら株数を固定しない | 定款・株主名簿 |
| 貸付金・借入れ(〇年〇月〇日付契約、残高〇円) | 契約日と、どの時点の残高かを書く | 金銭消費貸借契約書・決算書(勘定科目内訳明細書)・総勘定元帳 |
| 不動産(別紙目録) | 登記上の表示に沿って、土地は所在・地番・地目・地積、建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積を書く。共有なら不動産ごとの持分も確認 | 登記事項証明書 |
自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自書し、押印する必要があります(民法968条1項)。添付する財産目録は自書でなくても構いませんが、その各ページに署名押印が必要で、両面に記載があれば両面に署名押印します(同条2項)。文例を印刷して署名するだけでは、遺言本文の方式を満たしません。
よくある質問
司法書士からひと言
文例を探している方の多くは、「何を書けばよいか」より「自分の場合はどこを変えればよいか」で止まっています。表の〇〇をひとつずつ資料で埋めていくと、足りない資料や決めていないことが見えてきますので、その状態で見せていただければ、文案づくりからお手伝いできます。
司法書士 石本憲史(大阪司法書士会所属 登録番号 大阪第4973号)
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