一般社団法人を設立するときに公告方法を官報にしたものの、毎年の貸借対照表の公告に費用がかかるので、自法人のウェブサイトで済ませられないかと考える方は多いのではないでしょうか? 毎年の決算公告の費用を抑えるには、電子公告への変更のほか、官報を公告方法として残したまま貸借対照表をウェブサイトで開示する方法もあります。公告方法を電子公告に変える場合は、社員総会の特別決議による定款変更と、変更の効力が生じた日から2週間以内の変更登記が必要で、登録免許税は3万円、公告を掲載するURLも登記します。本ブログでは、一般社団法人の公告方法の変更について、わかりやすく説明します。
一般社団法人の公告方法とは
公告方法とは、法人が法律の規定により公告をするときに使う方法のことで、一般社団法人の定款には必ず記載します(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律〔以下「一般法人法」〕11条1項6号)。公告方法として定められるのは、官報に掲載する方法、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法、電子公告、そして不特定多数の人が情報を認識できる状態に置く措置として法務省令で定める方法のいずれかです(同331条1項)。
公告方法は登記事項です(一般法人法301条2項14号)。電子公告を公告方法とするときは、公告を掲載するウェブページのURLなど法務省令で定める事項もあわせて登記します(同15号イ)。定款には電子公告を公告方法とする旨を定めれば足り、事故などで電子公告ができない場合の予備の方法として官報か日刊新聞紙を定めることもでき、この定めも登記します(同331条2項・301条2項15号ロ)。
公告方法ごとの違い
一般社団法人が毎年必ず行う公告は、定時社員総会の終結後遅滞なく行う貸借対照表(大規模一般社団法人では損益計算書も)の公告です(一般法人法128条1項)。公告方法によって、この決算公告の負担が変わります。
| 公告方法 | 貸借対照表の公告 | 費用の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 官報 | 要旨の公告で足りる(一般法人法128条2項) | 掲載のたびに掲載料がかかる | 申込みから掲載まで日数がかかる |
| 日刊新聞紙 | 要旨の公告で足りる(同128条2項) | 掲載料は官報より高くなりやすい | 新聞名を定款で特定する |
| 電子公告 | 全文を5年間継続して掲載(同332条1号) | 自法人サイトなら掲載料は不要。サイトの維持費がかかり、決算公告以外を電子公告で行う場合は調査費用も必要 | URLを登記し、サーバーの管理を続ける |
電子公告では、貸借対照表の公告を定時社員総会の終結の日後5年を経過する日まで継続して掲載しなければなりません(一般法人法332条1号)。掲載が途切れると、一定の要件を満たさない限り公告の効力に影響するので(一般法人法333条で準用する会社法940条3項)、ウェブサイトの更新やサーバーの移転のときに消してしまわない管理が必要です。
なお、官報を公告方法のまま残し、貸借対照表の内容だけをウェブサイトで5年間開示する措置をとる方法もあります(一般法人法128条3項)。この場合も開示先のURLなどは登記事項になるので(同301条2項13号)、公告方法を変えるか、この措置をとるかは、ほかの公告の頻度もあわせて選びます。
電子公告にしても官報が必要な場面
電子公告に変えれば官報と縁が切れる、というわけではありません。解散したときの債権者に対する公告は、公告方法にかかわらず官報に掲載しなければならず、知れている債権者には個別に催告します(一般法人法233条1項)。合併のときの債権者異議手続きも官報公告と知れている債権者への個別催告が基本ですが、官報に加えて、定款に定めた公告方法である日刊新聞紙または電子公告でも公告すれば、個別催告を省略できます(同248条2項・3項)。
また、電子公告で行う公告のうち、貸借対照表の公告以外のものについては、公告期間中に適法に掲載されていたことを電子公告調査機関に調査してもらう必要があります(一般法人法333条で準用する会社法941条)。毎年の決算公告だけなら調査は不要ですが、債権者異議手続きなどを電子公告で行うときは、調査の申込みと費用が発生します。
変更の手続きと登記
公告方法を変えるには定款変更が必要で、社員総会の特別決議によります(一般法人法146条・49条2項4号)。法律上は総社員の半数以上で、かつ総社員の議決権の3分の2以上にあたる賛成が必要で、定款でこれらの割合を引き上げている場合はその定めに従います。ここでいう社員は従業員ではなく法人の構成員のことです。手続きの流れは次のとおりです。
- 公告を掲載するウェブページを用意し、URLを確定する
- 社員総会で、公告方法を電子公告とする定款変更を特別決議する(予備の公告方法を定める場合はあわせて決議)
- 変更の効力が生じた日から2週間以内に、公告方法の変更登記を申請する
- 次の定時社員総会後の貸借対照表から、新しい公告方法で公告する
登記期限は変更が生じた日から2週間以内で(一般法人法303条)、登録免許税は申請1件につき3万円です(登録免許税法別表第一24号(1)ツ)。電子公告のURLを後から変えたときも、登記事項の変更として同じく登記が必要です。登記や公告を怠ると、理事などが100万円以下の過料の対象になります(一般法人法342条1号・2号)。
必要になる書類
公告方法の変更登記に必要な主な書類は次のとおりです。
- 社員総会議事録(公告方法を電子公告とする定款変更の決議を記載したもの)
- 定款(決議要件などの確認・証明のために必要な場合)
- 委任状(司法書士に依頼する場合)
登記するURLは、公告を実際に掲載するページと一致しているか確認します。決算公告用とその他の公告用でURLを分けて登記することもできるので、分ける場合はそれぞれの掲載先を整理してから申請書を作成します。
よくある質問
司法書士からひと言
電子公告への変更では、登記の準備とあわせて、毎年の貸借対照表を所定の5年間掲載し続けるための管理体制も確認します。ウェブサイトの管理を外部に委託している法人では、公告ページを消さない取り決めを先に作っておくことをおすすめします。官報のままURLだけを登記して開示する方法もあるので、法人の公告の頻度にあわせて選んでください。
司法書士 石本憲史(大阪司法書士会所属 登録番号 大阪第4973号)
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