地域の活動や勉強会、業界団体、資格団体、コミュニティ活動などを一般社団法人にしたいとき、何人いれば設立でき、どのくらいの費用がかかるのでしょうか? 一般社団法人は、設立時社員2人以上で定款を作り、公証人の認証を受け、設立登記をすることで成立します。株式会社のような資本金は必要ありませんが、役員の構成や設立後の運営を決めておく必要があります。本ブログでは、一般社団法人の設立登記について、わかりやすく説明します。
一般社団法人とは
一般社団法人とは、人の集まりを法人として組織する仕組みです。「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(以下「一般法人法」)に基づき、主たる事務所の所在地で設立登記をすることによって成立します(一般法人法22条)。
一般社団法人は社員に剰余金を分配することを目的としませんが、有料講座や物品販売などで収益を得ることはできます。「非営利」という言葉は、売上げや利益を出してはいけない、という意味ではありません。
また、一般社団法人の設立と、公益社団法人になるための公益認定は別の手続きです。設立登記をしただけで公益社団法人になるわけではなく、税金も自動的に免除されるわけではありません。税務上の非営利型法人を目指す場合は、定款や役員構成などの要件が関係するため、設立前から税理士と確認します。
設立に必要な人数と「社員」の意味
設立時社員は、共同して定款を作成するため、2人以上必要です(一般法人法10条1項)。ここでいう社員は、従業員という意味ではなく、社員総会で議決権を持つ法人の構成員のことです。従業員を2人雇わなければ設立できない、ということではありません。
作成する定款には、原則として、設立時社員の署名又は記名押印が必要ですが、定款が電磁的記録をもって作成されている場合には、それに代わる措置として電子署名をすることで対応することが可能です(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則90条)。
なお、司法書士に定款作成を委任した場合には、実務上、司法書士が設立時社員の代理人として、電磁的記録である定款を作成し、当該定款に司法書士が電子署名をすることが多いです。
一般社団法人には、理事を1人以上置きます。個人の設立時社員は理事を兼ねることができるため、たとえばAさんとBさんが設立時社員となり、Aさんが理事も務める形で設立することが可能です(一般法人法60条)。
なお、法人は一般社団法人の理事となることはできません(一般法人法65条1項1号)。
理事会を置くかどうかで、必要な役員の人数が変わります。
| 組織の形 | 設立時社員 | 必要な役員 |
|---|---|---|
| 理事会・監事・会計監査人を置かない形 | 2人以上 | 理事1人以上 |
| 理事会を置く形 | 2人以上 | 理事3人以上と監事1人以上 |
理事会を置く法人には監事も必要で、監事は、その法人や子法人の理事・使用人を兼ねることはできません(一般法人法61条、65条2項)。理事会を置かなくても、会計監査人を置く場合には監事が必要です。定款で監事を置く場合も、役員をそろえます。
会員を募る団体では、会費を払う会員の全員を法律上の社員にするのか、一部の会員を社員とするのかも、定款を作る段階で整理します。
定款の作成から設立登記まで
設立手続きは次の順番で進みます。理事会の有無や定款の内容によって、必要な決定や書類が変わります。
- 名称、事業の目的、主たる事務所、社員と役員の構成、事業年度などを決めます。
- 設立時社員が定款を作成し、公証人の認証を受けます。
- 設立時理事などの選任・就任承諾、必要に応じた代表理事の選定を行います。
- 設立時理事などが、設立手続きに法令・定款違反がないかを調査します(一般法人法20条)。
調査では、定款や役員の選任などが法令・定款に沿って進められているかを確認します。なお、実務上、調査結果報告書のようなものを、登記申請時に法務局へ提出する必要はありません。 - 主たる事務所を管轄する法務局へ、設立登記を申請します。
定款には、目的や名称のほか、社員の資格の得喪、公告方法、事業年度などを記載します(一般法人法11条)。名称には「一般社団法人」という文字を用いる必要があります(同法5条)。場所については、具体的な法人名の前でも後ろでもどちらでもいれることが可能です。
入会・退会の扱いや議決権のルールも、実際の運営を思い浮かべながら決めます。
定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません(一般法人法13条)。認証の際には、本人確認書類や実質的支配者となるべき者の申告なども準備します。認証を受ける公証役場と、事前に必要書類を確認します。
設立登記の期限と設立日
設立登記の期限は、原則として設立時理事などによる調査が終了した日と、設立時社員が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内です(一般法人法301条1項)。定款の認証を受けた日から一律に2週間、と決まっているわけではありません。
法人の設立日は、通常、設立登記の申請が受け付けられた日になります。登記の審査が終わり、登記事項証明書を取得できるようになる日とは別です。活動開始日などに合わせて設立日を決めたい場合は、法務局の開庁日と、定款認証や書類の準備に必要な時間を確認して日程を組みます。
設立にかかる費用
主な法定費用は、定款認証手数料5万円と、設立登記の登録免許税6万円の合計11万円です(登録免許税法別表第一24号(1)ロ)。これに、定款の謄本等の交付費用、印鑑証明書などの取得費用、依頼する場合の司法書士報酬などが加わります。
一般社団法人の定款には、紙で作成した場合も、株式会社の紙の定款で必要になる4万円の収入印紙は不要です。認証費用は、日本公証人連合会の案内でも確認できます。
資本金の払込みは不要ですが、設立費用と活動資金は必要です。会費や事業収入など、運営資金の確保も考えておきます。
登記に必要になる書類
主な添付書類は次のとおりです。定款で設立時役員などを定めているか、理事会を置くか、書面・オンラインのどちらで申請するかによって、必要な書類は変わります。
- 公証人の認証を受けた定款
- 設立時理事・設立時監事等を選任したことを証する書面(実務上、定款の附則に直接記載して対応することが可能です)
- 設立時代表理事の選定を証する書面(別途選定する場合)(理事会を置かない一般社団法人では、実務上、定款の附則に直接記載して対応することが多いです)
- 設立時理事・設立時代表理事・設立時監事等の就任承諾を証する書面
- 主たる事務所の具体的な所在場所を決定したことを証する書面
- 印鑑証明書、住民票等の本人確認証明書(機関設計・申請方法や、印鑑証明書の添付の有無により要否が変わります)
- 委任状(司法書士に依頼する場合)
書面で申請する場合は、法人の印鑑を届け出る手続きも行います。既存の団体を法人化する場合には、設立登記だけで団体名義の預金や契約がすべて自動的に移るわけではないので、名義や契約の引継ぎも確認します。
よくある質問
司法書士からひと言
一般社団法人の設立では、必要な人数や費用とあわせて、設立後に誰が意思決定をするのかを整理しておきたいところです。社員と会員の区別、理事会の有無、活動資金の集め方まで考えておくと、定款を実際の運営に合わせられます。活動に合った形を、一緒に考えていきましょう。
司法書士 石本憲史(大阪司法書士会所属 登録番号 大阪第4973号)
設立後の変更については、役員の任期と重任、代表理事の交代、主たる事務所の移転、法人の名称変更の各記事もご覧ください。
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