取引先や助成金の申請先から「一般社団法人の登記簿を出してください」と言われたとき、その書類には何が書かれていて、どう読めばよいのでしょうか? 一般社団法人の登記事項証明書には、目的、名称、主たる事務所、理事の氏名、代表理事の氏名と住所、理事会や監事の設置、公告方法などが載り、社員(従業員ではなく、社員総会で議決権を持つ法人の構成員)の名前や基金の額は載りません。株式会社の登記簿と似ていますが、資本金や株式の欄がないなど違いもあります。本ブログでは、一般社団法人の登記事項証明書の見方について、わかりやすく説明します。
一般社団法人の登記事項証明書とは
登記事項証明書とは、法務局の登記官が登記記録の内容を証明するために発行する公的な証明書です。一般社団法人の登記にも商業登記法の規定が準用されており(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律〔以下「一般法人法」〕330条)、手数料を納めれば誰でも請求できます。「登記簿謄本」と呼ばれることもありますが、正式には登記事項証明書といいます。
一般社団法人は、その名称の中に必ず「一般社団法人」の文字を使わなければなりません(一般法人法5条1項)。登記事項証明書の名称欄を見れば、その団体が法人格を持つ一般社団法人なのか、法人格のない任意団体なのかが分かります。
登記事項証明書に載るもの・載らないもの
一般社団法人の登記事項は法律で決まっています(一般法人法301条2項)。証明書を読むときの目安として、載るものと載らないものを整理すると次のとおりです。
| 項目 | 証明書に載るか | 根拠・補足 |
|---|---|---|
| 目的、名称、主たる事務所・従たる事務所の所在場所 | 載る | 一般法人法301条2項1号〜3号 |
| 理事の氏名 | 載る(住所は載らない) | 同5号 |
| 代表理事の氏名と住所 | 載る | 同6号 |
| 理事会・監事・会計監査人の設置、監事の氏名、会計監査人の氏名または名称 | 載る | 同7号〜9号 |
| 公告方法、電子公告のURL | 載る | 同14号・15号 |
| 存続期間や解散事由の定め | 定款に定めがあれば載る | 同4号 |
| 社員の氏名・人数 | 載らない | 社員名簿で確認する |
| 基金の額、資本金 | 載らない | 一般社団法人に資本金の制度はない |
| 事業年度、社員の資格に関する定め | 載らない | 定款で確認する |
役員欄には理事の氏名と就任年月日が並び、代表理事だけ住所も記載されます。理事会設置一般社団法人である旨の記載があれば、その法人は理事が3名以上いて、監事も置いている法人だと読み取れます(一般法人法61条・65条3項)。監事設置の記載だけなら理事会はなく、理事の人数も1名以上であれば足ります。
証明書を読むときのポイント
契約の相手方として一般社団法人を確認するときは、まず名称と主たる事務所が契約書の記載と一致しているかを見ます。次に代表理事の氏名を確認し、契約書に署名する人が登記上の代表理事かどうかを照らし合わせます。代表理事が2名以上いる法人では、それぞれが単独で法人を代表します(一般法人法77条4項)。
目的欄は、その法人がどの事業を行えるかを示します。目的の範囲は実務上広く解釈されますが、依頼したい業務が明らかに目的から外れていないかは見ておくと安心です。
解散の記載があれば、原則としてその法人は清算中です。「みなし解散」とあるのは、最後の登記から5年(株式会社の場合には「12年」ですのでそれと混同しないように注意が必要です)を経過した法人が、法務大臣の公告から2か月以内に事業を廃止していない旨の届出も登記もせず、その期間の満了時に解散したものとみなされたことを示します(一般法人法149条1項)。その後に継続の登記があれば、法人を継続する手続きが取られたことが分かります。
証明書の種類と手数料
登記事項証明書には、記載する範囲によって主に4つの種類があります。現在事項全部証明書には現在効力のある登記事項に加えて直前の名称・主たる事務所とその変更年月日なども記載され、履歴事項全部証明書には請求日の3年前の日の属する年の1月1日以降に変更・抹消された事項も記載されます。閉鎖事項証明書は管轄外移転や清算結了などで閉鎖された登記記録のほか、履歴事項証明書の記載対象期間より前に抹消されて閉鎖された事項を確認するときに使い、履歴事項全部証明書の「全部」は設立以来のすべての履歴という意味ではありません。代表者事項証明書には、法人の名称・主たる事務所と、代表者の資格・氏名・住所など代表権を証明するために必要な事項が記載されます。
提出先から種類の指定がなければ、履歴事項全部証明書を選ぶのが無難です。
手数料は、法務局の窓口で請求すると1通600円、オンラインで請求して郵送で受け取ると520円、オンラインで請求して窓口で受け取ると490円です。証明書ではなく内容の確認だけでよければ、登記情報提供サービスで全部事項を330円で閲覧できますが、こちらには登記官の認証文がなく登記事項証明書とは異なるので、証明書の提出を求められている場合は証明書を取得してください。手数料は改定されることがあるので、請求時に法務局の案内で確認してください。
取得の方法は、法務局の窓口での申請、郵送での請求、登記・供託オンライン申請システムの「かんたん証明書請求」の3つです。原則として、どの法務局でも全国の法人の証明書を取得できます。
請求の前に用意しておくこと
請求の前に、法人の名称と主たる事務所の所在場所を登記どおりの表記で確認し、証明書の種類と通数を決めておきます。会社法人等番号(12桁)が分かれば、法人を特定するときに便利です。請求する人の氏名と住所も用意しておきます。
国税庁が指定する13桁の法人番号は、会社法人等番号の先頭に1桁を加えたものです。法人番号しか分からないときは、先頭の1桁を除いた12桁が会社法人等番号になります。
よくある質問
司法書士からひと言
一般社団法人の登記事項証明書は、株式会社のものと比べると欄が少ないぶん、目的・代表理事・機関設計の3点を押さえれば全体像がつかめます。取引の前に相手方の証明書を取って確認する習慣は、法人の種類を問わず役に立ちます。自法人の証明書を久しぶりに取ってみて、代表理事の住所や役員の顔ぶれが現状と一致しているかを確認し、証明書だけでは分からない役員の任期は定款や選任時の社員総会議事録と照らし合わせて、変更登記の漏れがないかを見直すきっかけにしてください。
司法書士 石本憲史(大阪司法書士会所属 登録番号 大阪第4973号)
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