一般社団法人の理事が任期を迎えたとき、同じ人が続ける場合も登記が必要なのでしょうか? 任期満了後に同じ人を再任する場合も、選任・就任承諾と変更登記が必要です。株式会社の役員変更と似ていますが、任期のルールや、準備する書類には違いがあります。本ブログでは、一般社団法人の役員変更登記について、わかりやすく説明します。
一般社団法人の役員変更登記とは
役員変更登記とは、理事や監事、代表理事などの登記事項に変更が生じたときに、法務局の登記記録を変更する手続きです。一般社団法人では、変更が生じた日から2週間以内に、主たる事務所の所在地で登記を申請します(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律〔以下「一般法人法」〕303条)。
新しい理事が就任した場合だけでなく、辞任、死亡、任期満了による退任なども対象です。また、任期満了と同時に同じ人が再任され、就任を承諾することを「重任」と呼びます。人が入れ替わらなくても、重任の登記を省略することはできません。
社員の変更は、役員の変更とは別です。一般社団法人の社員は法人の構成員であり、理事を兼ねていない社員が入退社しただけなら、通常は役員変更登記の対象になりません。
理事の任期は原則2年
理事の任期は、原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までです(一般法人法66条)。定款や社員総会の決議で短縮することはできますが、株式会社の一定の場合のように、任期を10年へ伸ばすことはできません。
「就任した日のちょうど2年後」とだけ覚えないことが大切です。実際の任期満了日は、事業年度と定時社員総会の開催日を確認して判断します。
監事の任期は原則4年です。定款により、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までを限度として短縮できますが、理事と同じように自由に短縮できるわけではありません(一般法人法67条)。補欠の扱いも含め、現在の定款と選任時の記録を確認します。
登記期限は、何が起きた日から数えるのか
同じ「役員変更」でも、就任・辞任・重任では確認すべき日が異なります。
| 変更の内容 | 原則として確認する日 |
|---|---|
| 新しい理事の就任 | 選任と本人の就任承諾がそろい、就任の効力が生じた日 |
| 任期満了と同時の重任 | 再任・承諾が整った定時社員総会の終結日 |
| 理事の辞任 | 辞任の効力が生じた日 |
| 理事の死亡 | 死亡日 |
辞任届に将来の日を指定している場合や、選任決議で就任日を別に定めている場合には、その内容を確認します。書類を作った日や印鑑を押した日が、そのまま登記期限の起算日になるわけではありません。
任期満了や辞任によって、法律・定款で定める役員の員数を欠く場合には、退任した役員は後任が就任するまで役員としての権利義務を有します(一般法人法75条1項)。代表理事の員数を欠く場合にも、別に同様の規定があります(79条1項)。この権利義務が継続している間は、退任登記だけを先に行うことはできません。後任の選任・就任など、欠員状態を解消する手続きとあわせて登記を準備します。
代表理事の選定も忘れずに
理事と代表理事は、別の立場です。選定された代表理事が理事の任期満了を迎えた場合、理事として再任するだけでは足りず、原則として改めて代表理事を選定します。
理事会を置く一般社団法人では、代表理事は原則として理事会で選定します。理事会を置かない法人では、定款や社員総会の決議、定款に基づく理事の互選など、法人の定めに沿って代表者を決めます(一般法人法77条3項、90条3項)。
全員が引き続き役員を務める場合も、社員総会の理事選任だけで終えず、代表理事について必要な選定と就任承諾を確認します。社員総会と理事会を同じ日に開く場合は、それぞれの決議の順番も整えておきます。
登録免許税と必要書類
公益認定を受けていない一般社団法人の役員変更登記の登録免許税は、申請1件につき1万円です(登録免許税法別表第一24号(1)カ)。複数の理事を同じ申請で変更しても、人数に応じて1万円ずつ増えるわけではありません。ほかの登記事項の変更を同時に申請する場合には、別の区分の税額が加わることがあります。
主な書類は次のとおりです。変更の内容と理事会の有無、代表理事の選び方により、必要なものを用意します。
- 社員総会議事録(理事・監事を選任する場合)
- 理事会議事録や互選書など、代表理事の選定を証する書面(選定方法に応じて)
- 就任承諾を証する書面(重任する人の分も確認します)
実務上は、理事が社員総会に出席し、その場で就任承諾している場合には、「就任承諾書については、社員総会議事録の記載を援用する」として対応することも多いです。 - 辞任届や死亡を証する書面(退任の原因に応じて)
- 定款(選定方法や任期などを証明するために必要な場合)
- 印鑑証明書・本人確認証明書(以下の区分に応じて)
- 委任状(司法書士に依頼する場合)
書面で申請する場合の基本として、理事会を置く法人では新任代表理事、置かない法人では新任理事の就任承諾書について印鑑証明書が必要です。これを添付しない新任の理事・監事には、本人確認証明書を用意します。再任ではこれらは不要ですが、代表理事の選定議事録等について必要な印鑑証明書は別に確認します。
株式会社の株主リストのように、「社員リスト(社員名簿)」を提出する必要はありません。
よくある質問
司法書士からひと言
役員の任期は「何年か」だけでなく、「どの定時社員総会で満了するか」まで記録しておくと管理しやすくなります。総会の準備と一緒に、代表理事の選定や登記に必要な書類も確認しておくことをおすすめします。顔ぶれが変わらないときこそ、手続きの区切りを意識しておきましょう。
司法書士 石本憲史(大阪司法書士会所属 登録番号 大阪第4973号)
ご依頼・相談受付
ご依頼は下記のフォームから受付けております。
お気軽にご連絡ください。
